ボルボ・カーズ(Volvo Cars/以下、ボルボ)は7月1日、ソフトウェア開発を内製化し、 将来のボルボ車に独自の自動車用OS(オペレーティング・システム)「VolvoCars.OS(以下、ボルボ・カーズOS)」を採用すると発表した。
ボルボでは、将来の自動車は機能や特徴ではなく、ソフトウェアによる機能や特徴によって、その魅力が決定されると考えていると云う。
そこで今後は、自動車用OSの開発を社内で行い、次世代電気自動車(EV)専用技術を用いた最初のSUV電気自動車にボルボ・カーズOSを搭載。これにより、より迅速で柔軟な開発を可能にすると共に、頻繁にOTA(無線アップデート)を行い、日々更新されるより良い製品をユーザーに提供していくとしている。
様々なOSを統合するボルボ・カーズOS
ボルボ・カーズOSは、車両とクラウドにまたがる様々なOS(Android Automotive OS、QNX、AUTOSAR、Linux)を統合し、ボルボのEVにおいて、包括的なシステムとして機能するもの。先に発表された「Extended Vehicle API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」を含む様々なAPIを通じて、ユーザー同意の上で、車両センサーデータやユーザーインターフェース、フリートデータ等、クラウドベース機能へのアクセスを開発者に提供し、新サービスやアプリケーションの作成にも貢献する。
これについて、ボルボの最高技術責任者のヘンリック=グリーン氏は、「ソフトウェアを自社開発することで開発スピードを上げ、お客様のボルボを今よりも早く改善することができます。スマートフォンやパソコンと同じように、新しいソフトウェアや機能をOTAで迅速に提供することができ、時間の経過とともに、お客様のボルボをより良く、より楽しくすることができます」と述べている。
ボルボでは今後、車内にある複数の電子制御ユニットよる情報処理を、社内開発したコア・コンピューティング・システムで集中して実行することで、複雑さを排除。このコア・コンピューティング・システムは、2022年発表の新モデルに初搭載され、3つのメイン・コンピュータから構成される「ビジョン処理」と「人工知能」、「一般的なコンピューティング、インフォテインメント」を実行する際、互いにサポートし合うと云う。
また、このコア・コンピューティングへの移行により、ハードウェアをソフトウェアから徐々に分離、新型車への最新ハードウェアの搭載を可能とするとしている。
主要テクノロジー企業と協力
ボルボでは現在、自社開発とコア・コンピューティングへの移行を、NVIDIA(エヌビディア)や、インフォテインメントシステムの共同開発パートナーであるGoogle(グーグル)等、主要なテクノロジー企業と協力して進めている。
主要テクノロジー企業と協力について、前出のグリーン氏は、「私たちは、必要のあるところで、真の技術リーダーと提携するという意図的な戦略を持っています。Googleは、GoogleマップからGoogleアシスタントに至るまで、ユーザー・エクスペリエンスとサービスにおいて真のリーダーであり、一方、NVIDIAは、最速かつ最高のコンピューティングへのアクセスを提供してくれています。このように、戦略的パートナーシップを選択するアプローチは、すべてを自力でやろうとするよりも遥かに効果的です」と述べている。
これらテクノロジー・リーダーとのコラボレーションを成功させ、顧客に最高のユーザー・エクスペリエンスを提供するという目標は、オープンAPIを通じてサードパーティのイノベーションにボルボ・カーズOSを開放するという決断の原動力にもなっていると云う。
■(Volvo Cars)第1回Volvo Cars Tech Moment(英語):https://live.volvocars.com/