ボルボ・カーズは3月12日、英Breathe Battery Technologies社( Breathe社 /ブリーズ バッテリー テクノロジーズ )と提携し、新世代EVで使用する特許取得済みの最新アルゴリズム対応充電ソフトウェアを利用できる最初の自動車会社になったという。
上記協業先のBreathe社とは、ロンドンを拠点とするスタートアップ企業。持続可能な地球を追求するべく2019年にインペリアル・カレッジ・ロンドンからスピンアウトし、ヤン・チャオ博士、イアン・キャンベル博士、グレッグ・オファー教授によって設立された。
現在、Breathe社は地球上の交通システムの電化をサポートするため、バッテリーの安全性、性能、コストを向上させる技術の開発に積極的に取り組んでいる。
より具体的には、バッテリーの状態を緻密に観察するバッテリー管理ソフトウェアを研究・開発しており、リアルタイムにバッテリー状況を改善しつつ、ボルボ・カーズと共に、より優れたバッテリー管理を目指している。
今回は、ボルボ・カーズのバッテリー管理プラットフォームにBreathe社のソフトウェアを統合。車両の利用ユーザーに充電時間の短縮と、より充実した運転・充電体験を提供することができるとしている。
つまり、この新たなソフトウエア技術との組み合わせで、エネルギー密度と航続距離を維持したまま、車両への充電時間(10%から80%まで)の時間を30%短縮できると見込む。
更にはこうした充電時間の改善効果は、バッテリーの健康状態に影響を与えることがないため、バッテリーのライフサイクル全体を通じて一貫して持続されると謳っている。
ボルボ・カーズではBreathe社との提携を、自社主力製品のBreathe Chargeを調達する過程に於ける結果であるとしており、それはコーポレート・ベンチャー・キャピタル部門であるボルボ・カーズ・テック・ファンドによる投資の効果であるという。
ボルボ・カーズ・テック・ファンドのアン=ソフィ・エクベリCEOは、「Breathe社への投資と商業的パートナーシップは、EVを利用する顧客満足度を引き上げ、私たちの商品の充電性能をより競争力のあるものにします。
日常的にお客様が急速充電を行う際の充電時間の短縮は、電動モビリティの普及を更に推し進め、より多くの人々がEVを利用できる環境づくりという面でも、正しい一歩を刻むものです」と述べた。
では、EVの搭載バッテリーが、新たなソフトウエアの導入で、どうしてそこまでの変革を果たすことができるのか。それは事前に決められたルールに依存する従来の段階的充電とは異なるからで、Breathe社のソフトウェアはアダプティブ充電を使用してバッテリーをリアルタイムで動的に制御し、充電時間を大幅に短縮することができるからだとしている。
アルゴリズムを使用して、ソフトウェアはバッテリーの健康状態に合わせて充電プロセスを管理し、バッテリーの性能と寿命に悪影響を与えるリチウムプレーティングのリスクを回避しながら、その結果、EVに対して最高のドライバー体験を提供することになる。
従ってボルボ・カーズ・テック・ファンドによるBreathe社への投資は、電動化の未来に向けたボルボ・カーズの立ち位置を確かなものとしただけでなく、この技術によってクルマの充電時間を短縮しながら、バッテリーパックの設計を変更したり、余分な材料を採掘したりすることなく、また環境に新たな影響を与えることもなく、ボルボ・カーズが目指す目標を実現することができるからだという。
Breathe Battery Technologies社CEOのイアン・キャンベル博士は、「ボルボ・カーズと投資および調達契約を結び、彼らの完全な電動化へ向けた道筋をサポートできることを大変喜ばしく思います。
我々の技術をボルボの次世代EVプラットフォームで大規模展開することで、革新的な自動車設計と性能向上への扉が開かれます。
私たちは、電動モビリティに対する深い情熱を共有しており、便利な急速充電は、私たちが目指す未来を実現するにあたり大きな礎となります」と述べいる。