UDトラックスは12月12日、同社敷地内のUDエクスペリエンスセンターで、大型トラックによるレベル4の自動運転デモンストレーションを、初公開した。
デモンストレーションは、5段階の自動運転レベルにおけるレベル4(特定条件下における完全自動運転)走行で、港湾内、工場構内、物流施設、建設現場などの限定領域を想定して実施。レベル4自動運転の実現は、ドライバーがすべての運転要素を車両に任せられる完全自動運転(レベル5)に向けた重要なステップとなる。
デモンストレーションでは、GPS(全地球測位システム)やレーダー、LiDAR(ライダー)、車載カメラ・ソフトウェアなどの自動運転技術を駆使し、大型自動運転車両が発進、停止、Uターン、旋回、バック走行などが行われた。
今回の大型トラックによるレベル4のライブデモ実施に際し、UDトラックス開発部門統括責任者ダグラス・ナカノ氏は、以下のように述べている。
「この度、日本で初めて一般公開できたことは、2020年の自動運転トラック実用化に向けた大きな一歩になります。
昨年発売した大型トラック『クオン』は高度な車両制御システムを採用しており、高精度な自動化を実現するための技術的な土台となっています。
UDトラックスはこの新型車両をベースに自動運転精度をさらに高め、私たちのビジョンである時世が求める商品・サービスをお客様に提供していきます。
本日の公開デモがビジネスパートナーとの話し合いの場につながり、物流業界やサプライチェーン、社会に貢献していきたいと思います」。
[次世代技術ロードマップ]
UDトラックスは今年4月、次世代技術ロードマップ「Fujin & Raijin (風神雷神)――ビジョン2030」を発表。自動化の取り組みをロードマップの柱の1つとして位置づけ、モノを動かす力を象徴する「風神」をプロジェクト名に開発を行っている。
また、自動運転に加えもう1つの柱である電動化に向けて、デジタル化をベースとしたコネクティビティ技術の開発を推進。2006年から開始した同技術により、現在、国内および一部海外のUD車両約5万台が接続、2025年までに、15万台に増加させる予定だと云う。
UDトラックスでは、これら顧客の運行状況から収集したデータを解析によって、車両の稼働率向上、運行管理、品質や技術を革新。また、ボルボ・グループ全体で80万台に及ぶデータを活用し、自動運転技術やコネクティビティ技術を向上し、物流の効率化に貢献していくとしている。
UDトラックスでは現在、大型の自動運転トラックと電動トラックのプロトタイプの開発を進行。2019年の東京モーターショーへ向け、ビジネスパートナーと実証運行を実施し、2020年までに特定用途での実用化を行い、2030年には、完全自動運転トラックと大型フル電動トラックの量産化を目指すとしている。