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2024年8月14日【CASE】

チューリング、自動運転開発環境のTerraを開発

坂上 賢治

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自動運転技術ベンチャーのTuring(チューリング)は8月14日、自動運転向けの生成世界モデル「Terra(テラ)」を発表した。

 

そんな同社は、カメラから取得したデータのみでステアリング、ブレーキ、アクセルなど、運転に必要なすべての判断をAIが行うE2E (End-to-End) の自動運転AIを開発中だ。

 

 

その取り組みは3つの柱で成り立っている。(1)高度な自動運転を実現する「生成AI」、(2)AIを車載で動かす「半導体」、(3)車両とAIを一体化させる「自動運転システム」の3軸だ。これを柱に2030年までに完全自動運転を実現することを目指している。

 

今発表のTerraとは、現実世界の物理法則や物体間の複雑な相互作用を理解するもので、リアルな運転シーンを動画として生成できるという。それゆえ自動運転システム開発に於ける運転シミュレーターや、自動運転システムの一部としても、利活用できるもとだとしている。

 

より具体的には、アクセル・ブレーキ・ステアリング等の詳細な運転操作情報を含むチューリング独自の走行データと、オンラインで公開されている走行映像の合計約1500時間分のデータを学習に使用し、任意の運転操作を高精度で再現することが可能になっているとした。

 

 

そもそもチューリングは、言語理解を行うLLM(大規模言語モデル)、複数種類のデータを元に高度な判断を行うマルチモーダルAI、空間把握と身体性を持つエンボディードAI、という3つのステージを経ることにより、2030年までに完全自動運転車両を開発することを目指している。

 

従って、今発表のTerraは、自社のエンボディードAIのステージで自動運転開発を推進する重要な技術なると畳み掛けている。

 

その「Terra」の主な特徴は以下の通り

 

特徴1:シミュレータとしての利用が可能
Terraを運転シミュレータとして利用することで現実の運転シーンをリアルに再現し、右左折や突発的な状況への対応などを学習・評価することができる。

 

例えば工事等により路面に障害物がある場合や、運転操作を誤り進路を逸脱した場合など、一般的な運転シーンでは遭遇しづらいエッジケースのシミュレーションに於いて高い効果が期待できる。これにより、開発の安全性と効率性を向上させることが可能とした。

 

特徴2:自動運転システムの一要素としての利用が可能
Terraを自動運転システムの一要素として利用することで、現在の交通状況を分析し、未来の予測結果を自動運転システムの運転判断に用いることできる。

 

具体的には、カメラ画像から得られたデータを解析し、周囲の歩行者や他車両の動きなどの詳細な状況を理解・予測した上で自動運転のメインシステムと連携することで、より高度な運転判断を行うことが可能になるという。

 

 

開発背景について

OpenAIの動画生成AI「Sora」に代表されるように生成AI技術は日々急速に進化しており、近年では自動運転分野でも、これらの技術を応用する試みが一部の最先端企業で始まっている。Terraは、このような背景からチューリングが開発した日本初の自動運転向け生成世界モデルとなる。

 

なお、同公開したモデルは今年4月に開発を開始した初期バージョン。今後さらに学習を進めることで、精度や生成速度を向上させ、安全かつ効率的な自動運転開発をより一層加速させていく。

YouTube : https://youtu.be/LAv-8GkzgtQ

 

 

会社概要

会社名:Turing株式会社
所在地:東京都品川区大崎1丁目11−2 ゲートシティ大崎 イーストタワー4階
代表者:代表取締役 山本一成
設立:2021年8月
事業内容:完全自動運転車両の開発
URL:https://tur.ing/

 

採⽤URLhttps://tur.ing/jobs

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。