自動運転技術ベンチャーのTuring(チューリング)は8月14日、自動運転向けの生成世界モデル「Terra(テラ)」を発表した。
そんな同社は、カメラから取得したデータのみでステアリング、ブレーキ、アクセルなど、運転に必要なすべての判断をAIが行うE2E (End-to-End) の自動運転AIを開発中だ。
その取り組みは3つの柱で成り立っている。(1)高度な自動運転を実現する「生成AI」、(2)AIを車載で動かす「半導体」、(3)車両とAIを一体化させる「自動運転システム」の3軸だ。これを柱に2030年までに完全自動運転を実現することを目指している。
今発表のTerraとは、現実世界の物理法則や物体間の複雑な相互作用を理解するもので、リアルな運転シーンを動画として生成できるという。それゆえ自動運転システム開発に於ける運転シミュレーターや、自動運転システムの一部としても、利活用できるもとだとしている。
より具体的には、アクセル・ブレーキ・ステアリング等の詳細な運転操作情報を含むチューリング独自の走行データと、オンラインで公開されている走行映像の合計約1500時間分のデータを学習に使用し、任意の運転操作を高精度で再現することが可能になっているとした。
そもそもチューリングは、言語理解を行うLLM(大規模言語モデル)、複数種類のデータを元に高度な判断を行うマルチモーダルAI、空間把握と身体性を持つエンボディードAI、という3つのステージを経ることにより、2030年までに完全自動運転車両を開発することを目指している。
従って、今発表のTerraは、自社のエンボディードAIのステージで自動運転開発を推進する重要な技術なると畳み掛けている。
その「Terra」の主な特徴は以下の通り
特徴1:シミュレータとしての利用が可能
Terraを運転シミュレータとして利用することで現実の運転シーンをリアルに再現し、右左折や突発的な状況への対応などを学習・評価することができる。
例えば工事等により路面に障害物がある場合や、運転操作を誤り進路を逸脱した場合など、一般的な運転シーンでは遭遇しづらいエッジケースのシミュレーションに於いて高い効果が期待できる。これにより、開発の安全性と効率性を向上させることが可能とした。
特徴2:自動運転システムの一要素としての利用が可能
Terraを自動運転システムの一要素として利用することで、現在の交通状況を分析し、未来の予測結果を自動運転システムの運転判断に用いることできる。
具体的には、カメラ画像から得られたデータを解析し、周囲の歩行者や他車両の動きなどの詳細な状況を理解・予測した上で自動運転のメインシステムと連携することで、より高度な運転判断を行うことが可能になるという。
開発背景について
OpenAIの動画生成AI「Sora」に代表されるように生成AI技術は日々急速に進化しており、近年では自動運転分野でも、これらの技術を応用する試みが一部の最先端企業で始まっている。Terraは、このような背景からチューリングが開発した日本初の自動運転向け生成世界モデルとなる。
なお、同公開したモデルは今年4月に開発を開始した初期バージョン。今後さらに学習を進めることで、精度や生成速度を向上させ、安全かつ効率的な自動運転開発をより一層加速させていく。
YouTube : https://youtu.be/LAv-8GkzgtQ
会社概要
会社名:Turing株式会社
所在地:東京都品川区大崎1丁目11−2 ゲートシティ大崎 イーストタワー4階
代表者:代表取締役 山本一成
設立:2021年8月
事業内容:完全自動運転車両の開発
URL:https://tur.ing/
採⽤URL:https://tur.ing/jobs