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2024年7月10日【ソフトウェア】

TSと日本IBM、生成AIによる開発効率向上を業務適用へ

坂上 賢治

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トヨタシステムズ(TS)と日本アイ・ビー・エム(日本 IBM)は、アプリケーション開発、運用、モダナイゼーションの各工程で、生成AIを活用してコードや仕様書を生成する実証実験を行い開発効率の向上を確認。これを踏まえ実業務への適用開始を発表した。

 

さてまず上記の取り組みを詳しく説明する前に、トヨタグループ傘下のITソリューション・カンパニーであるトヨタシステムズは、トヨタグループのITソリューション企業として、ITで、街づくり、車と移動の快適な未来実現のため、顧客目線での提案と抜群の技術力を介して最適なITソリューションの提供を目指している。

 

対して日本IBMは、世界175カ国以上でビジネスを展開するIBMコーポレーションの日本法人だ。その実務は、基礎研究を筆頭に、ビジネス・コンサルティングから、ITシステムの構築、保守まで一貫したサービスの提供を通じて、顧客企業の技術変革やデジタル・トランスフォーメーションを支援している。

 

そんな両社は7月10日、ビジネスのためのAIおよびデータ・プラットフォームであるIBM watsonx (watsonx)を活用。COBOLやJavaのアプリケーション・プログラムの仕様書の情報を基にソースコードを生成する「コード生成」、既存ソースコードの情報をもとに仕様書を生成する「仕様書生成」等の実証実験を2023年12月から開始。

 

上記実証実験の結果、有識者関与率の削減や開発生産性向上に寄与する成果が得られたことから、2024年7月から実業務への適用を行っていくことに着手した。

 

ここで一旦、今日のアプリケーション・プログラムの世界を振り返ってみると、多くの企業では自社の基幹システムを維持する上で、旧来からのノウハウを受け継ぐテクノロジー継承者の育成や関連人材の確保が急がれる。

 

それらの裏を返すと、自社システムを熟知した有識者への依存体質という課題可決、また脈々と引き継がれてきた社内スキルの継承なども大きな課題となっている。

 

また今日の企業の基幹システムには、長きに亘る運用に次ぐ、更にそれを上書きする運用が繰り返された結果、古いままの仕様書や使われなくなったソースコードなどが混在し、システム改修やモダナイゼーションを加速化させる上での課題となっている。

 

実際、トヨタシステムズでも、COBOLの維持・改修に対応できる要員が不足し、ワークロードが逼迫していることから、業務アプリケーションの知見やノウハウの継承、最新技術の獲得が急がれていた。

 

 

そこで、トヨタシステムズと日本IBMの2社は、「IT変革のためのAIソリューション」を活用し、アプリケーション開発から運用、モダナイゼーションに生成AIを適用し、有識者依存からの脱却と生産性向上による余力の創出に取り組んだ。

 

これを踏まえた現場に於ける実証実験で、トヨタシステムズは、複数の開発部門をまたがる生成AI検証チームを編成して、実際の開発案件を題材とした「コード生成」および「仕様書生成」の実証実験を推進した。

 

一方の日本IBMは、大規模かつ複雑なシステム・アーキテクチャーの構築と運用やAIを含む先進テクノロジーを活用したIT変革の推進の実績を踏まえ、当該の実証実験を支援。

 

こうした双方の実証実験の結果、有識者関与率の削減や開発生産性向上に寄与する成果が得られた他、生成AIを最新技術を活用することで若手社員がレガシー言語にも興味を持ち、積極的に活動に取り組むという効果も確認できたという。

 

こうした成果を受けて両者は、有識者の知見の生成AIの大規模言語モデル(LLM)への移植、プロンプト・チューニングによる出力結果の精度向上、トヨタ独自の開発標準書式での仕様書の出力を進めた。

 

その手順は、仕様書からの「コード生成」とソースコード情報からの「仕様書生成」を2024年7月から実業務に適用し、アプリケーション開発の新しい業務プロセスの検討を進めていくもの。

 

加えて、ユーザーの利便性を高めるために、生成AIとその他の技術とを統合するオーケストレーターを活用して出力結果の精度を高め、更なる生産性向上も目指す。

 

また将来的には、生成AIの活用による更なる省人化、自動化を進め、大規模基幹システムのモダナイゼーションの促進、ひいてはシステム開発を抜本的に見直し、新たなアプリケーション開発のあり方を含むデジタル・トランスフォーメーション(DX)の実現にむけて、共創していくと結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。