トヨタ・ベンチャーズ、フロンティアテクノロジーと気候変動ソリューションへの初期段階の投資を拡大するためにさらに3億ドルを調達
トヨタ自動車が去る2017年、米カリフォルニア州ロスアルトスを拠点に立ちあげたトヨタ・ベンチャーズ(Toyota Ventures/トヨタのベンチャーキャピタル部門)は4月10日(米・西海岸時間)、イノベーションの最前線で新興企業への投資を拡大するべく2つの1億5,000万ドル規模の新たなファンド( TVFF IIとTVCF IIに約460億円/概要は後述 )を発表した。
この新しいファンド、Toyota Ventures Frontier Fund II(TVFF II)及び Toyota Ventures Climate Fund II (TVCF II) の追加により、同社の運用資産総額は8 億ドルを超えた。なお今投資では、宇宙事業の商業化、気候変動などのフロンティアテクノロジーに焦点を絞ったスタートアップを支援する構えという。
先の2017年7月にトヨタ・ベンチャーズを創設して以来、人工知能、ロボット工学。水素ソリューション、再生可能エネルギー分野など75社を超えるスタートアップ企業に投資。トヨタの次なる未来の発見を支援するという使命を推進してきた。
そんなトヨタ・ベンチャーズは、北米、ヨーロッパ、中東、アジア太平洋にポートフォリオ企業を持っている。同社では、こうした資金により社会と地球のために、より良い未来を構築するべく世界中の多くの起業家を支援しているという。
その取り組みについてトヨタ・ベンチャーズでマネージング・ダイレクターを務めるジム・アドラー氏は、「私たちは探検家です。私たちの役割は、短期的にはトヨタのモビリティ変革を前進させ、長期的には次世代の破壊的イノベーションを受け入れる可能性がある技術トレンドを理解することです。
一部の投資家が規模を縮小している中、私たちは当初のフロンティア基金と気候基金を倍増して規模を拡大しています。生成AI、電子燃料、宇宙商業化、炭素回収、合成生物学などに於ける劇的な進歩。それはトヨタにとって投資すべき重要な時期であると言えます」と述べている。
なお先のTVFF IIとは、トヨタ・ベンチャーズの国際的な存在感の拡大を目指すAI、ロボティクス、モビリティ、クラウド、量子コンピューティングなどの分野のディープテクノロジーの最先端スタートアップに焦点を当てるものだとした。
こうした新しいファンドは、フロンティア・ファンドのパートナーであり、ベテランの投資家であるため、執行役員でもあるデイビッド・ソコリッチ氏が率いることになっている。
初期のフロンティアファンドのポートフォリオ企業には、衛星サービスプロバイダーのスターフィッシュスペース、バイオセンサーメーカーのセンティアンバイオ、量子コンピューティングソフトウェアスタートアップの ハイクなどが含まれる。
一方、TVCF IIは、気候変動と闘い、環境の持続可能性を促進するスマートでスケーラブルなソリューションを開発するスタートアップを探す。これは2021年に設立され、気候基金パートナーのリサ・コカ氏のリーダーシップの下、18社のポートフォリオに成長した同社初の気候変動重視基金を基盤とするものとなる。
最初の気候基金のポートフォリオには、アバランチエナジーのような再生可能エネルギーの企業が含まれている。エネルギー貯蔵および電子亜鉛電池 やAM電池などの電池。エアカンパニーやリビングカーボンのような炭素の回収、除去、利用。エコレクトロのような水素ソリューションなどがある。
トヨタ・ベンチャーズでチーフを務めるギル・プラット氏は、「イノベーションはチームスポーツであり、今日、トヨタのような産業界のリーダーにとって、急速に進化する世界で、私たち全員が直面する重大な課題に取り組むために、新進気鋭のスタートアップ企業と協力することがこれまで以上に重要になっています。
我々の新しい基金は、可能性の限界を押し上げる起業家をサポートするという当社の献身的な姿勢を強調するものであり、トヨタ・ベンチャーズのチームとポートフォリオと共に、この旅を続けられることにいつも心を躍らせています」と結んだ。