豊田通商は7月12日、豊田通商アメリカ(以下「TAI」)が、Merced Pipeline LLC(以下「Merced Pipeline社」)に、2021年4月に出資したことを発表した。
Merced Pipeline社は、米国カリフォルニア州(以下「CA州」)の15社の牧畜業者と提携しており、家畜ふん尿から発生するバイオガスを大気放出前に収集し、メタンガスに精製し、既存の天然ガスのパイプラインを介して、再生可能天然ガス(以下「RNG」)として供給する事業を行っている。水素製造においても、RNGなどのガス由来は製造効率も良く、有力な手法として活用されている。
2022年初旬の商用化に向け2021年7月下旬に生産・試運転の開始を予定している。
1.背景
パリ協定に復帰した米国は、2030年までに温室効果ガス(以下「GHG」)を2005年比で50~52%削減、2050年までにカーボンニュートラル実現を掲げている。事業セクター別でGHG排出割合をみると、港湾を含む輸送業が29%、農畜産業が10%を占めるなど、各分野でGHG削減とエネルギーの利活用が求められている。
GHG排出による公害問題を抱えるCA州では、ロサンゼルス港(LA港)・ロングビーチ港(LB港)が進める2030年までの港湾荷役機械ゼロエミッション化計画や、酪農エリアでのRNG事業を促進させる炭素クレジット制度など、州政府の積極的な規制改革・支援のもと、環境負荷低減に向けた取り組みが推進されている。
2.出資の目的
TAIは、Merced Pipeline社への出資を通じて、RNG由来の水素の地産地消のバリューチェーン構築を目指すとともに、2020年9月よりLA港で開始している港湾荷役機械動力源の水素燃料電池化(FC化)の取り組みとのシナジー創出を図るなど、港湾のゼロエミッション化を積極的に推進していく。
この事業は、GHG排出という農畜産業・輸送業が抱える共通の課題の解決を図るとともに、現地のサーキュラーエコノミー(循環型経済)にも貢献する取り組みとなる。
豊田通商グループは、産業ライフサイクルを通じてGHG削減に貢献する事業を加速し、カーボンニュートラルへの取り組みを推進することで、脱炭素社会への移行に貢献していくとしている。
Merced Pipeline LLC 概要
会社名:Merced Pipeline LLC(マーセドパイプライン)
所在地:米国カルフォルニア州
設立:2018年3月
出資者:Maas Energy Works, Inc.、Toyota Tsusho America, Inc.
代表者:Agent, DARYL MAAS(デリル マース)
事業概要:再生可能天然ガス製造・販売