トヨタ自動車は、2月26日、「いいクルマづくり」の構造改革「Toyota New Global Architecture(TNGA)」に基づいた新しい無段変速機(CVT)・6速マニュアルトランスミッション・2.0Lエンジン・2.0Lハイブリッドシステム・4WDシステムを開発したことを発表した。
とりわけ、新型の無段変速機(CVT)については、世界で初めて(※1)発進用のギヤを採用し、従来のCVTに対して低速域の伝達効率を大幅に改善したとしている。
トヨタ自動車は、この新型パワートレーン、無段変速機(CVT)・6速マニュアルトランスミッション・2.0Lエンジン・2.0Lハイブリッドシステム・4WDシステムに関して、主な特徴を以下のように挙げている。
■新型無段変速機(CVT)「Direct Shift-CVT」
「機械損失低減」と「ワイドレンジ化」、「変速追従性向上」に取り組み、ダイレクトでスムースな走りと現行比+6%の燃費性能を実現した。
・「機械損失低減」
ベルト効率の悪いロー側使用時の伝達効率向上のため、乗用車用CVTに世界で初めて(*1)発進用のギヤを採用、アクセル操作に対してのもたつき感を改善。また、ギヤとベルトの切り替えには、AT技術で培った高応答の変速制御技術を使用した。
・「ワイドレンジ化」
発進用ギヤの採用に合わせて、ベルトをハイ側に設定。より効率よくベルトを使用するとともにワイドレンジ化、2.0Lクラストップ(*1)の変速比幅7.5を実現した。
・「変速追従性向上」
発進用ギヤの採用で入力負荷が軽減されたため、ベルトおよびプーリー部を小型化。ベルトを狭角化するとともにプーリーを小径化し、変速速度を20%向上させた。
■新型6速マニュアルトランスミッション(6MT)
欧州をはじめとするグローバルなニーズに応えるため、マニュアルトランスミッションも新規に開発した。
従来型に比べ、質量を7kg低減するとともに全長を24mm短縮し、世界トップレベル(*1)のコンパクトなサイズにすることで、燃費性能を向上に貢献する。
また、伝達効率も世界トップ(*1)を実現、シフトチェンジ時に自動でエンジン回転を合わせるiMT制御を採用している。
■新型直列4気筒2.0L直噴エンジン「Dynamic Force Engine(2.0L)」
高速燃焼技術、可変制御システムの採用のほか、排気・冷却・機械作動時などの様々なエネルギーロスを少なくして熱効率を向上させるとともに高出力を実現。
その結果、新開発の2.0Lガソリン車用エンジン・ハイブリッド車(HV)用エンジンは、それぞれ、世界トップレベル(*1)の熱効率40%・41%を達成。
また、従来型エンジンに比べて、低回転から高回転まで全域でトルクアップを実現すると同時に、各国の排気規制にも先行して対応する。
■2.0Lトヨタハイブリッドシステム(THSⅡ)
4代目プリウスに採用された小型・軽量・低損失化技術を継承し、高い燃費性能はキープしたまま、より走行性能を向上させた2.0Lエンジン用ハイブリッドシステムを新開発。
加速時にはエンジンの回転数を下げると同時に電池からの電力を高め、リニアで伸びのある加速感を実現した。
■新型4WDシステム「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」と、「新型E-Four」
さらなる燃費向上と、4WDでの高い操縦安定性、走破性を目指し、新しい4WDシステムを開発。
エンジン車に採用する新システム「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」では、走行状況に応じ、リヤのトルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」を採用した。
また、前後輪の車輪軸に世界初(*1)の「ラチェット式ドグクラッチ」を備えることで、2WD走行時には、後輪に動力を伝達させる駆動系の回転を停止させ損失を低減、燃費向上をはかる「ディスコネクト機構」を採用した。
ハイブリッド車に採用する「新型E-Four」では、電気で駆動する後輪の全体トルクを従来型の1.3倍に増加させ、走行状態に応じて適切に後輪にトルクを配分する新制御を採り入れた。
さらに、「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」、「新型E-Four」双方に、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、4WDを統合して制御する「AWD Integrated Management(AIM)」を採用した。
また、今後、乗用車用・商用車用・HV用など、さまざまな用途に8機種の新型4WDシステムを展開していくとしている。
トヨタ自動車は、今回発表の新しいパワートレーンについて、今春以降、搭載車種をグローバルで拡大。
従来型のエンジン車の環境性能、走行性能の向上のみならず、その基礎となる技術の一部は、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)といった電動車においても、確実に性能向上に反映されるとしている。
また、同社はTNGAによって開発したパワートレーンについて、2021年までに、エンジン9機種・17バリエーション、トランスミッション4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステム6機種・10バリエーションを投入すると、すでに発表しているが、今回発表の無段変速機(CVT)・6速マニュアルトランスミッション・2.0Lエンジン・2.0Lハイブリッドシステムは、その中の4機種となる。
トヨタ自動車は、これらTNGAにより開発したパワートレーン搭載車を、5年後の2023年に、同社単独の年間販売台数(日本・米国・欧州・中国)の約80%にすることを目指す。
なお、これによるCO2排出量の削減効果は、TNGAによるパワートレーンの燃費向上寄与分だけでも、18%以上(*2)を見込んでいるとしている。
*1 2018年2月現在。トヨタ調べ。
*2 2015年にトヨタが販売した新車1台あたり平均の走行時のCO2排出量に対する2023年の削減率。日本・米国・欧州・中国が対象。CO2排出量は、各国・地域の認証データを使用した新型パワートレーンの寄与分のみの試算。
– 新型パワートレーンの特長:
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/powertrain2018/
– 新型無段変速機(CVT)「Direct Shift-CVT」詳細情報:
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/powertrain2018/cvt/
– 新型6速マニュアルトランスミッション(6MT)詳細情報:
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/powertrain2018/6mt/
– 新型直列4気筒2.0L直噴エンジン「Dynamic Force Engine(2.0L)」詳細情報:
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/powertrain2018/engine/
– 2.0Lトヨタハイブリッドシステム(THSⅡ)詳細情報:
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/powertrain2018/ths2/
– 新型4WDシステム「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」「新型E-Four」詳細情報:
https://newsroom.toyota.co.jp/jp/powertrain2018/4wd/