東陽テクニカは4月1日、先の3月29日付けで流体制御装置の製造・設置を手掛けるエル・テールの全株式を取得し100%子会社化したことを明らかにした。
そもそもエル・テールは、東陽テクニカが展開する燃料電池評価装置製造の協力会社として携わっており、今回の子会社化によって設備投資を進め、燃料電池や水電解評価システムの増産を視野に、海外需要に対応できる体制を整える。
ちなみにエル・テール買収の背景には、日本政府が2023年6月に改定した「水素基本戦略」で、水素の普及に向けて水素供給量を2040年に年間約1,200万トンに拡大する目標を掲げるなどの投資拡大計画があった。実際、日本政府は水素を作る水電解技術、水素を使う燃料電池技術の強みを活かし、水素コア技術が世界市場で活用されることを目指している。
そうした流れを受けて東陽テクニカは、1999年より燃料電池評価ソリューションの自社開発、販売を手掛けてきた。現在は、水電解評価にも対応しており、燃料電池、水電解の電気化学反応を計測、解析するためのソリューションも多数展開している。
またエル・テールは、1997年に設立以降、独自技術を駆使した流体制御装置の製造や設置を手掛け、その装置は研究機関や大手ガス会社などでも活用されている。東陽テクニカの燃料電池評価システムの装置製造にも協力会社として携わってきており、燃料電池の様々な評価にも対応してきた経緯がある。
そこで東陽テクニカはエル・テールの子会社化を契機に、両社が持つ知財やノウハウを共有。ひっ迫する需要に対応できる量産体制を構築することで、水素関連事業を拡大させる。両社では、「今後さらに活発化する水素コア技術の研究開発に向けてオリジナルな計測技術を追究し、環境にやさしい水素社会実現に向けて、さらなる貢献を目指してまいります」と話している。
株式会社エル・テール概要
名称:株式会社エル・テール
所在地:兵庫県川西市加茂6-108-4
代表者の役職・氏名:代表取締役社長 水田 愼一朗
事業内容:流体制御装置製造、制御装置設置工事、電気工事
資本金:2千万円
設立:1997年12月1日
<参考>
・東陽テクニカ燃料電池ソリューション ポータルサイトhttps://www.toyo.co.jp/material/contents/detail/fuelcell.html
・東陽テクニカ電気化学測定情報サイト「電気化学測定ラボ」https://www.toyo.co.jp/material/elechem/