東芝は、広域に配置された多数のカメラによる大量の映像を、独自の映像圧縮伝送技術で通信量を抑え、クラウドサーバーにリアルタイムに収集・配信する「アダプティブ映像伝送システム技術」を開発した。
現在の一般的なドライブレコーダーの圧縮後映像による伝送時と比較し、データ量を8割以上削減。サーバー1台で数千台規模のカメラ映像を、収集・配信することが可能になると云う。
なお、同技術のデモシステムは、11月8日から9日にグランドニッコー東京・台場(東京都港区台場)で開催される「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2018」で展示される。
近年、災害や防犯対策などを目的に、社会インフラや公共施設を中心にカメラ映像監視システムの設置が急拡大している。
また、安全運転支援や車両運行管理を目的とした、LTE(Long Term Evolution)モバイル通信対応のドライブレコーダーや、産業用ロボット、ドローンなど、移動体に搭載されたカメラを用いた遠隔映像監視システムの普及が進んでいる。
移動体に搭載されたカメラで撮影した映像は、広範囲からの映像を、無線通信により収集・活用することが想定されるが、従来のカメラ映像監視システムでは、通信パケット容量と通信速度制限等の制約により、コストを抑えて実現することは難しかった。
そこで東芝は、多数のカメラからの映像を低コストで、遠隔から詳細にリアルタイム監視できる独自の映像圧縮伝送技術を適用した「I/Pピクチャ分離映像配信アーキテクチャー(※1)」による、アダプティブ映像伝送システム技術を開発。
映像データを高画質なまま細切れに管理し、その一部分のみを伝送することで通信パケット量を節約。詳細な映像を見たい場合には、表示モードの切り替えで、すべての映像データを伝送、鮮明な映像を表示する。以上の仕組みにより、全体の通信量を抑えながらの詳細なリアルタイム監視を実現した。
また、伝送帯域に制約がある場合、一度細切れの一部分を表示した後に巻戻し再生を繰り返すことでカメラ側に記録された未送信の映像データを段階的に伝送。なめらかな映像に近づけることも可能だと云う。
加えて、従来技術のように、通信量を減らすための圧縮を行わないため、処理負荷や画質劣化が生じないため、結果、クラウドサーバーのコストが抑えられ、画像認識技術の活用にも適するとしている。
また、同技術を搭載したシステムを、標準準拠の映像コーデック、ブラウザー、ウェブサーバーを用いて低コストで開発し、スムーズに動作することを実証。
一般的なカメラに搭載されているH.264/AVC標準エンコーダーなどをそのまま活用することができ、また、パソコン、タブレット、スマートフォンのHTML5標準ブラウザーで特別な拡張機能などを用いずに再生することができたと云う。
東芝は、同技術の早期実用化を目指し、さらに、AIなどを用いた画像認識技術を活用し、多数のカメラからの映像の中から必要に応じ、即座に必要なだけ鮮明な映像を収集し、解析する遠隔映像監視システムを実現に向けて研究開発を進めていくとしている。
※1:細切れの映像データを必要な部分のみ伝送表示するシステムアーキテクチャ
[TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2018について]
– 開催日:2018年11月8日(木)、9日(金)
– 場所:グランドニッコー東京・台場
「アダプティブ映像伝送システム技術」のデモを交えた展示を、会場内で予定。