
新品カーボンブラック並みのゴム補強性の実現を目指す共同プロジェクト
東海カーボン、ブリヂストン( BS )、九州大学、岡山大学の4者は1月27日、使用済タイヤなどのゴムを含む高分子製品から取り出された再生カーボンブラック( rCB / recovered Carbon Black )を二次処理し、石油・石炭由来の新品カーボンブラック( vCB / virgin Carbon Black )並のゴム補強性を持つカーボンブラック( eCBTM / eco Carbon Black )を生成する技術プロジェクトを開始した。
上記の参画4者は、高度な資源循環技術の開発を通じて、サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルの実現に貢献していく。
当該プロジェクトは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/ CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発(追加公募)」に2024年12月23日に採択された実証事業「使用済みタイヤを含む高分子製品からのカーボン再利用技術の開発」( 提案者:東海カーボン、委託パートナー:ブリヂストン、九州大学、岡山大学 )の一環として実施するもの。
既に、使用済タイヤ等のゴムを含む高分子製品を熱分解し、rCBを回収、再利用する取り組みは行われているが、rCBには多くの不純物が含まれていることから、タイヤへの活用にはvCBと比較してゴム補強性の面で課題を抱えている。
また、使用済タイヤの多くはサーマルリカバリー(熱回収)により燃料として有効利用されているが、その際にCO2排出を伴う。自動車・交通需要の増加に伴い、タイヤの需要が今後も伸長していく環境下に於いて、その原材料であるvCBのリサイクルを可能とすることで資源循環の向上を目指すとしている。
同プロジェクトでは、東海カーボンがカーボンブラック製造を通じ培ってきた技術・ノウハウと、ブリヂストン、九州大学、岡山大学が持つ各々の知見や技術を融合させることで、rCB内の不純物等を除去し高いゴム補強性を持つeCBを生成する技術開発に取り組む。
生成量としては、2032 年度までにeCBを5,000t/年生産する実証プラントの稼働を目指す。また、使用済タイヤを熱分解せずにカーボンブラックの再利用を可能とする特殊ポリマー/特殊カーボン複合体の開発にも取り組む。
参画4者は、これらの取り組みを通じて、限りある資源の高度なリサイクルの実現を目指すと共に、カーボンブラックの生産や使用済タイヤの処理に伴うCO2排出量の削減にも貢献していく。
参画各組織の役割は以下の通り
——————————————
– 東海カーボン:rCBをeCBに二次処理するための技術開発および設備開発
– ブリヂストン:eCBを使用したゴムの物性評価、タイヤ実用性評価
– 九州大学:eCBの表面状態観測と評価、ゴム補強メカニズム解明
– 岡山大学:特殊ポリマー/特殊カーボン複合体開発
——————————————
東海カーボングループでは、2030年に向けた長期ビジョンとして、「先端素材とソリューションで持続可能な社会の実現に貢献する」を掲げると共に、2050年のカーボンニュートラルに向けて、各種施策に取り組んでいる。
カーボンブラックを主力製品の一つとする企業グループとして、プロジェクトメンバーと共に、カーボンブラックのリサイクル性向上とCO2排出量削減に資する当該プロジェクトに積極的に取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献し、ステークホルダーの皆様との「信頼の絆」をより深めていくという。
——————————————
ブリヂストンは、様々なパートナーとの共創活動を通じて、使用済タイヤを「資源」としてゴムや原材料に「戻す」リサイクル事業の事業化に向けた「EVERTIRE INITIATIVE」に取り組んでおり、タイヤ水平リサイクルの早期社会実装を目指している。
ブリヂストンは、この共創活動を通じて、企業コミットメント「Bridgestone E8 Commitment」で掲げる「Ecology:持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐこと」、「Energy:カーボンニュートラルなモビリティ社会の実現を支えること」にコミットしていく。
加えてブリヂストンは、自社のビジョンである「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」の実現に向けて、商品を「創って売る」「使う」、原材料に「戻す」という当社のバリューチェーン全体で、カーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現、ネイチャーポジティブへの取り組みをビジネスと連動させながら強化し、持続的な価値創造基盤の構築へ挑んでいくと結んでいる。