神戸製鋼所は7月13日、100%子会社の米国ミドレックス社(Midrex Technologies, Inc.)とともに、鉄鉱石生産の世界最大手ヴァーレ社(Vale S.A.)およびグローバルに資源事業に参画する総合商社である三井物産と、世界の鉄鋼業界向けに低炭素鉄源および低炭素製鉄ソリューションの提供に向け、共同検討の実施について合意したと発表した。
鉄鋼は、資源賦存性、製造コスト、機能の多様性など、基礎素材として求められる多くの側面において優れており、社会インフラや耐久消費財などを構成する主要素材として、我々の生活を支えている。また、超ハイテンによる自動車軽量化など、様々な製品において使用段階でのCO2排出削減に貢献しているが、気候変動対策の観点から、鉄鋼生産に伴うCO2排出量については、世界的にCO2排出削減ニーズが高まっている。
既設直接還元鉄プラント(Tosyali Algerie)
今回の協働で重要な役割を果たすとされるのは、神戸製鋼所が保有する技術であるMIDREX🄬プロセス(※1)。同プロセスは、世界の還元鉄(※2)生産量の60%以上を占めるリーディングプロセスで、天然ガスもしくは石炭由来のガスを還元剤とするため、高炉法に比べて、製鉄工程でのCO2排出量を抑制することが可能だ。
神戸製鋼所では、今後、MIDREX🄬プロセスをはじめとするグループ保有の技術や製品、サービスと人材の総合力を発揮し、ヴァーレ社、三井物産との協働を通して世界の鉄鋼業界のCO2排出削減という社会課題の解決に貢献していく考えだ。
CDRI(cold direct reduced iron)とHBI(hot briquetted iron)
※1 MIDREXプロセス
MIDREXプロセスは、天然ガス(もしくは石炭由来のガス)を還元剤として、粉鉱石を加工したペレット等をシャフト炉によって還元し、還元鉄※2を製造する。高炉法に比べ製鉄工程でのCO2排出量を抑制できることなどが特長で、世界で90基以上の納入実績を持つ。
※2 還元鉄(DRI:Direct Reduced Iron)
鉄鉱石を還元した鉄鋼原料。不純物の少ない清浄鉄源であり、高級スクラップや銑鉄の代替品として主に電気炉で(近年は高炉や転炉でも)鉄源として使用される。
■神戸製鋼所 :https://www.kobelco.co.jp/