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2025年2月7日【IoT】

ティアフォー、タクシー営業車両で自動運転データ収集を開始

坂上 賢治

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「自動運転の民主化」を掲げるティアフォー(TIER IV)は7月2日、タクシー営業車両にティアフォー製データ記録システム(Data Recording System : DRS)を搭載して、2025年2月より東京都内広域での走行データ収集を開始した。

 

そんなティアフォーは、世界初のオープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」の開発を主導するディープテック企業として、自動運転システムの社会実装を推進してきた。

 

今回は、そうした取り組みが実を結び経産省の令和5年度補正事業「モビリティDX促進のための​無人自動運転開発・実証支援補助金​」の交付決定を受け、ロボットタクシーの普及を見据えた車両開発および車両活用・走行の両面で、参入障壁の低減に繫がるサービスモデルの確立に注力していく。そこで、同一環として、ティアフォーが提唱する協調的機械学習ソリューション(Co-MLOps)を活用した走行データ収集を開始した。

 

より具体的には、自動運転システムの安全性と乗り心地に寄与する人工知能(Artificial Intelligence : AI)技術の開発を視野に、政府の方針であるモビリティDXの促進および自動運転レベル4の社会実装の加速に向けてタクシー営業中に得られる大量の走行データを基に自動運転AI開発に最適なデータセットを構築。完成したデータセットを自動車業界をはじめとするパートナー各社に提供していく構え。

 

もとよりティアフォーでは、2018年11月より自動運転社会向けデータ収集実験を開始し、2024年7月に日本交通と業務提携を開始した。その間にティアフォーは、パートナー各社と共にロボットタクシー実証プロジェクトを立ち上げ、タクシー車両への自動運転システムの導入、および配車アプリや地図データ、サポートセンターを含むサービス実証を推進してきた。

 

今回の走行データ収集に使用するDRSには、自動運転AI開発に有用な高性能センサーが搭載されている。ちなみに、これまではティアフォー所有の実験車両による走行データ収集の概念実証を行ってきたが、2025年2月より日本交通が運行するタクシー営業車両5台による走行データ収集を開始し、その後20台程度まで拡大していく予定。

 

その大元となる先のCo-MLOps(協調的機械学習ソリューション)は、世界各地で得られた大量の走行データから良質なデータセットを構築し、ティアフォーを含む世界各国の自動運転システム開発企業の間で合理的に共有することで、個社単独では困難な自動運転AI開発を大きく加速させることを目的としている。

 

今回は日本国内に於ける先行事例として、東京都内広域での走行データ収集を実施し、成果となるデータセットは自動車業界をはじめとするパートナー各社に提供していく。また今後は、日本の社会課題の解決に資するロボットタクシー事業の可能性を探るため、サービス実証の検討を進める。

 

なお現在ティアフォーは、2024年11月より開始しているロボットタクシー実証のデータを活用しながら、自動運転レベル4相当のロボットタクシー車両の開発を視野に入れ、東京都内を含む複数の地域に於いて、段階的に最先端のロボットタクシーサービスの社会実装を進めている。

 

但し当面は、乗務員が運転席に着座する形での「モビリティハブ型」サービス実証で連携。地域の回遊性向上やロボットタクシー導入プロセスの検討を進める。

 

こうした車両開発や走行検証の成果については、ティアフォーの自動運転システムのリファレンスデザインとしての活用を視野に入れつつ、新規参入のハードルを下げることで、政府の方針であるモビリティDXの促進や自動運転レベル4の社会実装の加速に寄与する可能性を探っていくという。

 

会社概要

社名:株式会社ティアフォー
所在地:東京都品川区
URL:https://tier4.jp
設立年月:2015年12月
主な事業内容:
・自動運転プラットフォーム開発事業
・自動運転ウェブサービス開発事業
・自動運転システム開発キット販売事業
・自動運転技術の教育事業

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。