当該SoCを搭載した自動運転タクシーによる実証実験の様子自動運転用オープンソースソフトウェア〝Autoware〟の開発を主導するティアフォーと、LSIの設計開発などを担うデジタルテクノロジー企業のアクセルは8月9日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」事業で、完全⾃動運転に特化したシステムオンチップ(SoC : System-on-Chip)プロトタイプの有効性を実証した事を明らかにした。
このSoCは、ティアフォーがグローバルな普及と運用支援を行う世界初の自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」を、限られた計算資源で実行するための設計がなされたもの。
具体的には、センサー系の高負荷な処理に既存装置の1/10の消費電力を実現する独自開発のハードウェアアクセラレータが搭載されている。制御系の処理には、実行時間の変動を低減するリアルタイム処理のためのメニーコアプロセッサが組み込まれた。今後の研究開発成果を先端プロセスで製造することで、消費電力150W以下のSoCで自動運転タクシーを実現できる見込みであるという。
完全自動運転に特化したSoCプロトタイプの外観とアーキテクチャ
このSoCを搭載した自動運転タクシーによる実証実験では、一部の自動運転機能をSoCにオフロードし、路上駐車の回避、先行車の追従、交差点での右折などの基本的な試験を実施。
試験の結果、統合されたSoCとAutowareの機能が有効に動作していることを確認した。同実証実験で得られた成果 は、今後の研究開発と事業展開に活用していく構え。
実証に参加した2社は、「自動運転を含むスマートモビリティ分野の成長に寄与し、社会の需要に応えるために積極的に取り組むティアフォーとアクセルの姿勢を示す重要な一歩となります。
両社は今後も緊密に連携し、スマートモビリティ分野における技術開発と事業拡大により一層大きく貢献してまいります」と話している。