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2022年11月2日【ソフトウェア】

シノプシス、セキュア開発成熟度モデル(BSIMM)13を公開

松下次男

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ソフトウェア・インテグリティ・グループの大森健史セキュリティ・コンサルティング マネージング・プリンシパル

 

ソフトウェア・サプライチェーンのセキュリティ強化の取り組みが大きく前進

 

日本シノプシス合同会社は11月2日、企業のソフトウェア開発におけるセキュリティ対策を定量的に評価した年次報告書の最新版「BSIMM(セキュア開発成熟度モデル)13」(日本語版)を公開し、ソフトウェア・サプライチェーンのセキュリティ強化の取り組みが大きく前進していることを明らかにした。(佃モビリティ総研・松下次男)

 

 

BSIMMはソフトウェア・イニシアティブを測定し、評価するデータ駆除型ツール。250以上のソフトウェア・セキュリティの取り組みに対する注意深い調査、分析を基に作成したものだ。

 

2008年から公開しており、今回が13回目。データはアドビ、ペイパル、レノボなど世界各国130社の企業・団体から収集しており、BSIMMは年に一度の調査結果報告だけでなく、参加企業・団体にプライベート・コミュニティへの参加機会も提供する。130社の企業の内訳は北米が75%、欧州が13%、残りがアジア太平洋など。

 

 

日本語版発表に合わせて開いた記者説明会で大森健史マネージング・プリンシパルは北米が多いのはシノプシスが米国企業のためとし、日本企業もNECプラットフォームズなど3社含まれているとした。また、年々北米以外の企業が増えているとも話す。

 

レポートによると、近年のサプライチェーン攻撃の増加を受けて、オープンソース・ソフトウェアに潜むリスクの特定や対策として実施されているソフトウェア・サプライチェーン・リスク管理がBSIMM参加企業・団体にとってトップ・プライオリティの要件になっていると分析。

 

今回の調査で、オープンソース・リスクに関する取り組みが過去12か月間で51%増加していることが判明したことを明らかにした。

 

 

また、自動テストをソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)全体を通じて実践する取り組みも大幅に進捗しているという。

 

BSIMM参加企業・団体はセキュリティの取り組みをCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインや開発者が使用するツールチェーンに気見込んでいく活動が過去12か月で大きく進展。

 

 

開発者のツールチェーンにセキュリティ対策プロセスを組み込む動きが50%増加

 

今回の調査では、品質保証自動化プロセスにセキュリティ・テストも組み込む活動が48%増加したことが分かった。

 

最終製品やアプリケーションの領域を超えてソフトウェア・セキュリティ対策を拡充する動きも進む。セキュリティ・チームはCI/CDのための自動化プログラムのように、アプリケーションでないソフトウェアのセキュリティを確保するための取り組みを大幅に強化しているにも最近、目立つとした。

 

さらに今回の調査では、BSIMM参加企業・団体の82%が自動コード・レビュー(静的解析)ツールを活用しいていることも分かった。これにより、使いのセキュリティ・テストを迅速に実施し、SDLC全体のどこかで発生する脆弱性を特定することが可能になるとしている。

 

 

大森マネージング・プリンシパルよると、BSIMMレポートの分析から「最早前倒しでテストを行うだけでは不十分であり、SDLCの適切な時期に、適切なコンテキストに特化したテストを行うことが重要になっている」と指摘。

 

 

これが可能なのは開発ツールチェーンへのセキュリティ対策プロセスの統合が進んできているためでもあり、両輪でセキュリティ強化に対するアクティビティの進化がみられるとした。

 

ただ、このような動きはグローバルでの取り組みであり、日本企業ではまだそこまで至っていないケースが多いと警鐘した。

 

アプリケーション/ソフトウェアの脆弱性をついたサプライチェーン攻撃は米政府機関や企業に甚大な被害をもたらしており、わが国でも自動車関連企業などへのサイバー攻撃が目立つ。

 

このため、米国ではバイデン大統領がサイバーセキュリティの強化に関する大統領令を発令し、ソフトウェア開発に携わる企業組織のサプライチェーンリスク対応を加速させている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。