スズキは11月14日、循環型社会とカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指し、大型リチウムイオン電池(LiB)と蓄電システムを手掛けるエリーパワー(本社:東京都品川区)と、追加出資・業務提携契約を締結したと発表した。この契約により、スズキはエリーパワーに100億円の追加出資を行い、21.59%の株式を保有する筆頭株主となる。
また両社は、蓄電システムにも多様なモビリティにも搭載可能なリチウムイオン電池の共同開発に合意。今回エリーパワーがスズキから調達する資金は、主に設備投資・共同開発に充当される予定だと云う。
さらにスズキは、エリーパワーが発行する転換社債型新株予約権付社債150億円を、引き受ける(手続きは年内完了の見込み)。
エリーパワーは、定置用途とモビリティ用途の共通利用可能な大型リチウムイオン電池の実用化を目指した産学連携プロジェクト「エルスクエアプロジェクト」の研究成果・理念を継承する形で、2006年に慶応義塾大学発のベンチャーとして創業。
研究開発から生産まで一貫した体制で大型リチウムイオン電池自社製造すると共に、この電池を搭載した蓄電システムの開発、製造、販売。同社の蓄電システムは、住宅を中心にセキュリティ、通信、病院・介護福祉、官公庁・自治体等で累計94,000台以上(2023年9月時点)が利用されていると云う。
スズキは、2012年にエリーパワーに10億円を出資し、以降、技術交流を図ってきたが、今回100億円を追加出資し、蓄電システムにも多様なモビリティにも搭載可能なリチウムイオン電池を共同開発する。さらに、年内に手続きを完了させることを目処に、エリーパワーが発行する転換社債型新株予約権付社債150億円を引き受ける。
エリーパワーは、創業以来培ってきた住宅をはじめとする定置用途での独自技術(高安全・長寿命・温度特性)を、モビリティ領域でさらに発展させることで、今まで以上に環境・エネルギー問題解決に貢献し、持続可能な社会の実現に尽力していくとしている。
またスズキは、今回のエリーパワーとの提携を通じて、モビリティの電動化を加速させ、ユーザーの立場に立った製品・サービス作りと、再エネ活用による持続可能なカーボンニュートラル社会への貢献を目指していくとしている。
[各社コメント]
・エリーパワー 吉田会長
「この度、スズキ様との技術交流や定置用での実績が実り、スズキ様が手掛けられる多様なモビリティ領域へ参入できることを大変嬉しく思います。当社は創業当初より、定置用途とモビリティ用途に共通で利用可能な大型リチウムイオン電池の実用化を目標に掲げ、大和ハウス工業様が手掛ける高級住宅や賃貸住宅、商業施設、物流倉庫などを中心に蓄電システム領域の市場開拓を先行してまいりました。
今後はこの共同開発を通じて、これまで定置用途で培ってきた独自技術に磨きをかけ、モビリティの電動化に役立つ競争力の高いリチウムイオン電池で貢献するとともに、モビリティ領域ではスズキ様、蓄電システム領域では大和ハウス工業様をはじめとするパートナー企業様との連携の下、循環型社会・カーボンニュートラル社会の実現に向けてさらなる前進をしてまいります」。
・スズキ 鈴木社長
「2012年以降、エリーパワー様とは技術交流を行ってきました。このたびの関係強化により、電動モビリティへの変革が求められる現代において、高安全、長寿命、温度特性などの独自技術や蓄電池活用に関する知見をお持ちのエリーパワー様と一緒に、カーボンニュートラル社会実現に向けた取り組みを推進してまいります。また、環境への配慮と高い性能を両立させたモビリティに適したリチウムイオン電池の共同開発にも取り組みます。スズキは、エリーパワー様および他の出資企業様と連携し、持続可能な環境づくりを進めてまいります」。
[会社概要]
<エリーパワー>
– 会社名:エリーパワー株式会社
– 設立:2006年9月
– 代表者:代表取締役会長兼CEO 吉田博一
– 本社所在地:東京都品川区
– 事業内容:大型リチウムイオン電池および蓄電システムの開発、製造、販売。
<スズキ>
– 会社名:スズキ株式会社
– 設立:1920年3月
– 代表者:代表取締役社長 鈴木俊宏
– 本社所在地:静岡県浜松市
– 主要製品:四輪車・二輪車・船外機・電動車いす等。