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2025年2月26日【テクノロジー】

スズキ、船外機エンジン部品への耐食処理技術を新開発

NEXT MOBILITY編集部

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アルマイト処理中の船外機

 

スズキは2月26日、船外機のエンジン部品であるシリンダーブロック、シリンダーヘッド、クランクケースに、高温にも耐えられる耐食性のアルマイト処理を施す新技術を開発したことを発表した。

 

なお、この技術は、既に昨年8月からDF140Bの一部仕様に量産機種として初採用されており、今後、その他仕様にも順次採用される予定だ。

 

さて同社が船外機に耐食性のアルマイト処理を施すことにした理由は、エンジンの冷却のため、海水など大量の水をくみ上げながら走行することから、この冷却水路に腐食を防ぐ処理を施す必要があるため。

 

今回スズキが開発した技術では、冷却水が通るエンジン部品にむらなくアルマイト処理を施すことで、海水に対する耐食性を向上させると共に、従来の耐食性向上のための表面処理の工程と比較してCO2排出量を約50%削減するなど、カーボンニュートラルにも貢献する。

 

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新技術の主な特長
(1)アルマイト処理による耐食性の向上
アルマイト処理は、アルミニウムを電解液に浸けて電気を流すことにより、表面に多孔質の層を生成。今回は、表面に酸化アルミニウムの皮膜をつくることで耐食性を向上させる処理方法を採った。

 

より具体的には、部品を浸ける際に空気だまりが発生しないように工夫することで、複雑な形の冷却水路を、むらなく処理することを可能としている。

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(2)金属水和物を使った低温封孔処理による耐熱性向上
アルマイト処理によって生成された皮膜は、ごく高温にさらされると割れが生じ、耐食性が低下することから、高温になるエンジン部品への処理としては不適であった。

 

スズキは今回、表面の微細孔をふさぐために金属水和物を使った低温封孔処理を行うことで、摂氏300度の高温にさらされても耐食性が低下しないアルマイトの封孔処理方法を確立。この処理方法が量産船外機のエンジン部品に採用されるのは、世界初になる。

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(3)鋳鉄スリーブを電解液に触れさせない密閉技術
シリンダーブロックに組み込まれた鋳鉄スリーブは、電解液に接触すると電気分解による孔食が発生し、不良品になってしまうため、今回、鋳鉄スリーブに電解液を触れさせないよう専用のシール治具で密閉する技術を開発した(特許申請中)。

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(4)製造時CO2削減によるカーボンニュートラルへの貢献
従来、冷却水路の耐食性を向上させる表面処理では、化成処理をした後に塗装を行っていたが、アルマイト処理ではこの工程を省略することが可能。塗装の乾燥、焼き付け処理のためのエネルギー消費も不要となるため、CO2排出量が従来比で約50%削減できる。

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この取り組みについてマリン事業本部の三嶋秀一本部長は、「今回スズキの船外機で採用した技術は、耐食性を上げることによる商品性向上のほか、製造時のCO2を削減しカーボンニュートラルにも貢献する、量産船外機として世界初の技術です。

 

チームスズキで新技術開発に挑戦し、エンジン部品へのアルマイト処理を量産化することができました。今後も、全社一丸となって船外機技術を発展させ、お客様に喜んでいただける商品開発を継続してまいります」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。