タイヤ内に取り付けた2種類の発電デバイス
住友ゴム工業は10月11日、関西大学・谷弘詞教授と共同で、タイヤの内側に静電気を利用した発電デバイス(エナジーハーベスト/使われずに捨てられる環境エネルギーを活用するデバイス)を取り付け、タイヤの回転によって電力を発生させる技術開発を行っていることを明らかにした。
同技術開発では2種類の発電デバイスを組み合わせることで、幅広い速度域で安定した電力を得ることに成功。タイヤ内部に設置したTPMS(タイヤ空気圧監視システム/Tire Pressure Monitoring System)の稼働を確認。
発電メカニズムイメージ
なお同社によると、これまでの開発でタイヤの歪みの変化による張力を利用した低速域での発電(発電デバイスAを利用し、タイヤ速度50km/hで発電量800μW以上を確認)に成功した。
今回の開発では、加速度変化による遠心力を利用する発電デバイス(発電デバイスB)を適切に配置することにより、高速域でも相当量の電力を得ることにも成功したという。
発電メカニズムの異なる2種類の摩擦発電デバイスを並列接続することで、幅広い速度域で安定した電力を得ることができるようになり、実車を用いた実験でも低速域から高速域まで安定してTPMSの起動が可能になったとしている。
発電デバイスによる発電量イメージ
住友ゴム工業では、「同成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果得られたものです。
もとより当社は、CASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ技術開発および周辺サービスのコンセプトSMART TYRE CONCEPT(スマートタイヤコンセプト)を掲げ、様々な技術開発を行っています。
その中でもタイヤをセンサーとしたソリューションサービスの提供を推進しています。このタイヤ内発電技術は、タイヤセンシングの一番の課題であるセンサーデバイスの電池寿命を解決する手段であり、この実現によりタイヤセンシングの実用化を大きく前進させることができると考えています。
また今後もタイヤ内発電技術の進化を更に加速させ、〝タイヤがクルマと繫がる、人と繫がる、社会と繫がる〟をキーワードとして、安全・安心なモビリティ社会の実現に向けて住友ゴム独自の価値を提供し続け、ドライバーの安全を支えてまいります」と話している。