ソニーグループ(以下、ソニー)は1月5日、米国ネバダ州ラスベガスで同日より開催の「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2020」で、モビリティ進化への貢献を目指して開発を進める電気自動車(EV)「VISION-S(VISION-S 01/VISION-S 02)」を発表し、ブースで試作車を展示した。
ソニーでは、「VISION-S」のコンセプトを実社会で実証すべく、一昨年(2020年)の12月より欧州に於いて公道走行テストを開始。車内外に搭載されたイメージング・センシング技術やヒューマンマシンインタフェース(HMI)システム等の安全性やユーザーエクスペリエンスの検証を重ねている。また2021年4月には、5G走行試験を開始するなど、同社の最先端技術を継続的に投入し、EV化が進むモビリティ環境に於いて新たな体験提供に向けた取り組みを続けている。
そして今回、CES 2022に於いて、「VISION-S」の新たなフェーズに向けた活動について、以下の通り発表した。
SUVタイプの新たな試作車両
ソニーは今回、「VISION-S」の新たなフォームファクターとして、SUVタイプの試作車両である「VISION-S 02」を発表し、展示。「VISION-S 02」では、公道走行試験等を展開するプロトタイプ機である「VISION-S 01」と共通のEV/クラウドプラットフォームを採用し、その広い室内空間を活用したエンタテインメント体験や7人乗車のバリエーションなどが実現されていると云う。
今後は、「VISION-S 01」と共に、価値観が多様化する社会での様々なライフスタイルへの対応を推進。「VISION-S」を、より人に寄り添うモビリティを目指して進化させ、安全のための技術開発やアダプタビリティ、エンタテインメントを軸に開発を継続していくとしている。
VISION-Sでの主な取り組み状況
ソニーはまた、「VISION-S」に於ける“Safety(安全性)”、“Adaptability(適応性)”、“Entertainment(娯楽やサービス性)”の3つの重点領域に関する現在の取り組み状況について、以下の通り発表した。
Safety:安全なモビリティ
高感度、高精細、広ダイナミックレンジのCMOSイメージセンサーや、立体空間を3Dで正確に把握するLiDAR(ライダー)などの周囲360度に張り巡らされたセンサーにより、周辺環境の認識・把握をリアルタイムに行い、安全運転を支援。
また、緊急車両の走行などの周辺環境の状況を車内でも的確に判断できるよう、車内の音響システムやHMIシステムと連携した直感的なドライバーインタラクションを提供。
全ての人に安全を提供することを目的に同社センサー技術と通信技術を用い、より安全で快適なモビリティを実現するため、ADAS(運転支援機能) Level 2+の公道リリースに向けた機能検証を欧州で行っている。
Adaptability:人に近づき、共に成長
ToF方式距離画像センサーを用いて、ドライバー認証やパッセンジャーを見守るためのモニタリング機能や、直感的なインターフェース進化を目指すジェスチャーコマンド、音声コマンドへの対応に加えて、ユーザーの好みに合わせて、車両のディスプレイテーマや加減速音を設定できる新たな機能を提供。
さらに、5Gを含む低遅延・大容量・高速なモバイル通信を用い、車両とクラウドシステムを連携し、車両設定やキー施錠、ユーザー設定を同期させるほか、OTA(Over the air)を通じて、セキュリティ、サービス機能、付加価値提供といった車両アップデートを継続的に進化させる。
また、これまでにスマートフォンの開発を通じて培ってきた通信技術や通信セキュリティ等の社内技術・知見を活かしたリモート運転を、自動運転時代の到来を見据えた重要技術と位置付け、その実現に向けて日独を5Gでつないだ運転実験を実施。「VISION-S 01」搭載のテレマティクスシステムを用いた低遅延伝送(映像・制御信号)や、通信制御(監視・予測)等の技術向上にパートナーと連携し取り組んでいる。
Entertainment:モビリティエンタテインメント空間の深化
立体的な音場を実現するシートスピーカーと「360 Reality Audio(360リアリティオーディオ)」に対応したストリーミングサービスにより、好みのアーティストの生演奏に囲まれているような没入感のある音楽体験を提供。
また、VISION-Sには、車室内の前方パノラミックスクリーン及びリアシートの各席のディスプレイで臨場感のある映像視聴体験の提供を目的とした映像配信サービス「BRAVIA CORE for VISION-S」を搭載。
そして、さらなるエンタテインメント体験の探索に向けて、自宅のPlayStationにリモート接続してのゲーム体験に加え、新たにクラウド経由でストリーミングすることで、多彩なゲームも楽しめる。
ソニーは、以上モビリティ体験の進化や提案を今後さらに加速させるため、今年春に事業会社「ソニーモビリティ」を設立し、EVの市場投入を本格的に検討。
新会社では、AI・ロボティクス技術を最大限に活用し、誰もが日常的にロボットと共生する世界を実現し、人を感動で満たし、社会へ貢献することを目指し、エンタテインメントロボット「aibo(アイボ)」や、ドローン「Airpeak(エアピーク)」に「VISION-S」を加え、様々な領域で新たな価値創造を行っていくとしている。
[CES 2022の概要]
– 会期:2022年は1月5日(水)~8日(土)
– 会場:アメリカ合衆国 ネバダ州 ラスベガス
The Venetian Expo(201 Sands Avenue, Las Vegas, NV 89169
– 主催:Consumer Technology Association(CTA:全米民生技術協会)