ソフトバンクは、米国のブロックチェーン技術開発企業のTBCASoft社(TBCASoft, Inc.)と、ブロックチェーンによるID情報管理・認証を推進するワーキンググループを、通信事業者のグローバル・ブロックチェーン・コンソーシアムであるキャリア・ブロックチェーン・スタディー・グループ(CBSG:Carrier Blockchain Study Group)で発足した。
このワーキンググループの発足に伴いTBCASoft社は、新しいアプリケーションフレームワーク基盤となる「Cross-Carrier Identification System(CCIS)」を構築。
通信事業者は、このCCISの利用により、ブロックチェーンを活用したID情報管理や証明書の検証が容易になると云う。
ソフトバンクとTBCASoft社は、CBSGの下、このワーキンググループの運営をリードし、世界中のCBSGメンバーと連携、CCISの有用性を検証していくとしている。
現在、多くのID情報管理システムは、多数のユーザーを持つ特定企業等により管理された中央集権的なデータベースに頼っている。
そのため、これらサービスを利用するユーザーは、ID認証のため、この中央集権的なシステムを提供するプロバイダーを信頼し、連携する無数のサービスプロバイダーに氏名や住所をはじめとするID情報を開示する。
一方、CCISでは、ブロックチェーンを活用し、通信事業者基準の高い信頼性を持ったコンセンサス(合意形成)の下、それぞれの通信事業者が独立して運用する仕組みとなっているため、機密情報の開示することなく、暗号化されたデジタルIDの認証が可能になると云う。
CCISの特長は、以下の通り。
・ユーザーは、ゼロ知識証明(※)と分散台帳技術(DLT: Distributed Ledger Technology)により、共有したくない個人の詳細な情報の提供なしで、IDの発行・保管・認証が可能。
・ユーザーは数えきれないほどのアカウントやパスワードを発行したり、覚える必要がない。
・TBCASoft社の技術と通信事業者のデータセンターの堅牢性により、IDなどの盗難による個人情報の流出を防ぐ。
ソフトバンクのテクノロジーユニット 技術戦略統括 IT サービス開発本部 本部長の福泉武史氏は、次のように話している。
「ID情報管理・認証は、プライバシー保護の観点から、品質にばらつきのあるデータベースに多くのユーザー名やパスワードを保存するのではなく、暗号化された電子IDが作られるべきだと考えています。
CBSGに参加する通信事業者は、ID情報管理・認証においてグローバル規模で非常に重要な役割を担っており、ソフトバンクは TBCASoft と共にこの課題解決に取り組んでいます。私たちは、この答えは CCIS にあると考えています」。
また、TBCASoft社の創設者兼CEO、およびCBSGの共同議長のLing Wu氏は、次のように話している。
「これまで取り組んできたキャリア間決済システムの成功に続き、CCISは新しい重要なソリューションになると考えています。
CCISは、通信事業者基準の高い信頼性を持ち、不正行為からユーザーの ID を守るグローバルプラットフォームです。
TBCASoftは、世界中の通信事業者と連携して、包括的かつ経済合理性のあるブロックチェーンの ID 認証サービスを、世界中の企業やユーザーに提供することを目指します」。
※:与えられた情報が真実であることを、それ以外の情報を伝えずに相手に証明する技術。
[CBSGについて]
通信事業者向けのブロックチェーン・コンソーシアム。TBCASoft社やソフトバンク、米国のSprint、台湾のFar EasTone Telecommunicationsによって、2017年9月に設立。
CBSGは、コンソーシアムに参加する通信事業者およびそのユーザー向けに、ブロックチェーンを活用した安全な国際送金、清算や決済、個人認証、IoT 端末向けアプリケーションなど、さまざまなサービスの提供を目指している。
■TBCASoft社:https://www.tbcasoft.com/