エネルギーと建物管理のシナネンホールディングス(本社:東京都港区、代表取締役社長:山﨑 正毅)は6月26日、EV(電気自動車)のワイヤレス充電システムの生産・販売を展開するWiTricity Corporation(ワイトリシティ コーポレーション/本社:アメリカ・マサチューセッツ州、CEO:Alex Gruzen)と、今後の協力関係に関する基本合意を締結した。
WiTricityは、マサチューセッツ工科大学(MIT)でEVのワイヤレス充電技術を開発していた研究室のメンバーがスピンアウトし、2007年に設立した先端技術企業。
WiTricityは、ワイヤレス充電技術について、1,300件以上の世界的な特許を所有しており、これまでは自動車メーカーや電力機器メーカーをはじめとするライセンシー企業による実装を行ってきたが、今後は「WiTricity Halo™」の地上側送電パッドや車両側レシーバー等の生産を開始することに伴うWiTricityブランドによる一般販売開始を目指している。
そこで、これに合わせて、日本市場においてもWiTricityブランドの製品販売を展開するべく、シナネンホールディングスとWiTricityとの間で協力関係の構築に関する基本合意を締結したという流れだ。
なお同社のワイヤレス充電システム「WiTricity Halo™」は「磁界共鳴方式」を採用し、地上に設置された送電パッドと、EVに取り付けられた受電パッド(レシーバー)との間で、磁界を共鳴させることで電力を供給する仕組みだ。
このためEVと充電機器とをコードで繋ぐ必要がなく、EVを送電パッドの上に停車させ、エンジン(パワースイッチ)を切るだけで、自動で給電開始となる。
標準伝達電力は11kwで、ケーブルが必要なレベル2充電システムと同等の電力転送効率、充電時間で充電が可能。車両側レシーバーは、PHEV、BEVなどに適用できる。加えて既存のEVへの後付けも車種によっては可能。
またV2H(Vehicle to Home)やV2G(Vehicle to Grid)の技術を用いて、常にEVをワイヤレスで繋げておくことで可能にする、分散電源・非常電源としての活用の他、将来は充電装置を道路内に埋め込んで設置することによる、走行中充電も期待されている。
上記を踏まえシナネンホールディングスは、WiTricityの日本展開に於ける事業パートナーとして、子会社であるシナネン株式会社がWiTricity製品の日本国内への輸入から、一般向けへの販売業務などを目指す。
またシナネンおよびグループ会社のリソースを活用し、既存EV車両へのレシーバーの設置、ウォールボックスおよび送電パッドを兼ね備えた充電場所の設置・普及等も推進していく。
装置と製品の個々機能は以下の通り
ウォールボックス
ウォールボックスには、グリッド供給を充電パッドに供給する高周波エネルギーに変換するために必要な高出力電子機器が設置されている。
送電パッド(地上パッド)
送電パッドには、一次コイルと、そのフェライト、シールド、およびウォールボックスからの高周波エネルギーを車両受信機に効率的に転送するために磁場に変換する共振整合ネットワークが格納されている。
レシーバー(車両受信機)
車両に搭載された受信機は、送電パッドが生成する磁場からエネルギーを取得し、そのエネルギーを直流電流に変換し、電気自動車に電力を供給することでバッテリーを充電する。