既存投資家及びマツダ含む新規投資家から合計1600万ドルの資金を調達
AIアルゴリズムによるモデル設計に強みを持つSecondmind(セカンドマインド/本社所在地:英国ケンブリッジ、日本法人所在地:神奈川県横浜市)は11月28日(英時間)、マツダと戦略的パートナーシップの提携を拡大。複雑化する自動車技術の設計・開発に対応していくため、AIに係る技術協業の加速化で合意したと発表した。
これによりSecondmindは、マツダ車に対して車両設計開発のシステムエンジニアリングと検証プロセスをサポートするソリューションの研究開発と、量産適用を中心に活動していく。
また拡大を決めたパートナーシップ関係では、高度で複雑な課題を克服する戦略的なアプリケーション技術に重点を置き、マツダに於ける設計と開発の仮想化を通じて、それらに掛かる時間とコストの効率化を目指す。
加えて今回、Secondmindが実施した新シリーズB2資金調達ラウンドについても、既存投資家でベンチャーキャピタルのAmadeus Capital、Atlantic Bridge Ventures、Cambridge Innovation Capitalに、マツダがパートナーシップ拡大の一環として参加する。
今回の資金調達ラウンドについてSecondmindは、Future Fundの社債転換を含む今回の資金調達により、営業とマーケティングの強化、数々の受賞を獲得したクラウドネイティブのSecondmind Optimization Engine(システム設計、キャリブレーション、ライフサイクルなどの車両最適化に繋げるための課題分析技術)の開発加速化など、事業の主要部分を拡大するために使われるとしている。
なお同投資ラウンドで第4の投資元となったマツダの存在についてSecondmindは、自社のリーダーシップ、アクティブ・ラーニング技術の革新性、製品の差別化、自動車市場に於ける事業機会の大きさへの賛同を裏付けるものだと自身で評している。
実際、今提携拡大では、過去三年に亘る両社の提携関係に加え、マツダの先端AIの先行研究及び、それを担う人材の育成に於いても協力関係を深めていきつつ、英ケンブリッジのAI業界への案内役として、マツダの自動車工学への取り組みに対して、最先端のAI技術を適用させる研究分野でマツダに協力しすると説明している。
Secondmindの最高経営責任者(CEO)のガリー・ブロットマン氏は、「Secondmindとマツダは、車両設計と性能の継続的な最適化の実現に向けて、意気投合しました。
今回の戦略的パートナーシップの拡大は、長年に亘る深い協力関係を強化するものであり、先端AIの先行研究及び関連技術を担う人材の育成で、自動車工学上でのAIイノベーションを切り開いていくマツダにご協力できることを誇りに思います。
加えて今回の資金調達ラウンドに於いて、Amadeus Capital、Atlantic Bridge Ventures、Cambridge Innovation Capitalに加え、マツダを出資者として迎えることができたことを嬉しく思います。
この資本増強を活用し、ソフトウェア・デファインド・ビークルの時代に於いて、マツダと自動車業界全体にとってより価値の高い、システム設計最適化とキャリブレーション用ソフトウェアの開発と量産適用を加速させたいと考えています」と語っている。
対してマツダの佐賀尚人執行役員は、「自動車業界では、市場ニーズの多様化や技術の高度化と複雑化によって、開発スピードの更なる加速と効率化が求められています。
Secondmindとのパートナーシップが、固定概念にとらわれない発想や革新的な技術をマツダにもたらし、マツダのクルマづくりの更なる進化に貢献してくれることを期待しています」と語った。
またAmadeus Capital Partnersの共同設立者兼パートナーであるハーマン・ハウザー氏は、「私たちは、実用的なAIアプリケーションを世の中で始めて開発する企業の1つであったSecondmindのアーリーステージから、Secondmindを支援してきました。
自動車産業へ注力するというSecondmindの戦略は大きな成功を収めており、マツダとのパートナーシップ拡大はその証となります。今回の投資ラウンドで、このような業界のリーダーとパートナーになれることを嬉しく思います」と述べた。
Atlantic Bridge Venturesのマネージング・ダイレクターであるケビン・ディロン氏は、「Atlantic Bridge Venturesは、2017年以来Secondmindの主要な投資家として、同社が開発するエンジニアリング用途の画期的な機械学習ソリューションへのニーズに対し継続して支援しており、今回、自動車工学のイノベーターであるマツダをSecondmindの戦略的出資者として迎えることを嬉しく思います。
我々は、ソフトウェア・デファインド・ビークルの時代において、Secondmindが、自動車の設計と開発の効率を大きく変えるきっかけになるとを強く信じています」とコメント。
最後にCambridge Innovation Capitalのパートナーであるイアン・レイン氏は、 「AIと機械学習の力で、サステナブルな車両の設計開発に変革をもたらすというSecondmindのミッションに関われることを嬉しく思います。
マツダとの革新的なパートナーシップの拡大により、自動車産業のカーボンニュートラルな世の中への移行を加速させるという世界的な取り組みの中心に、ケンブリッジの企業が関わっていることに対し、Secondmindを称賛したいと思います。
SecondmindのクラウドネイティブなAI最適化ソリューションは、エンジニアにとって、かつてないレベルの電動車開発やドライビングエクスペリエンスを実現するツールとなり、車両のライフサイクルを通じたエネルギー効率と性能の継続的向上を実現させていくと信じています」と結んでいる。