三機工業は6月2日、“次世代電池”の評価用向け環境試験設備を開発し、同社のR&Dセンターに実装したと発表した。
この環境試験設備は、-40~+100℃までの広範囲な温度条件に対して、±0.3℃以内の高精度の制御性を有し、従来比で約40%の運転エネルギーを削減する。
車両や電子部品などの評価試験が行われる環境試験設備には、広範囲の温度条件の設定が可能であることに加え、それぞれの温度帯で高精度な制御性が求められる。自動車の電動化や自動運転装置の普及、通信分野におけるモバイル機器の高性能化が加速するにつれ、このような環境試験設備は今後、需要の増加が見込まれている。特に車載用電池の評価試験においては、-40~+100℃という非常に広範囲な温度条件が必要とされている。
広範囲な温度条件で室内の発熱負荷が変動する場合、温度制御が不安定になることがある。従来、求められる温度条件を満たすためには、冷却装置で室内温度より低い温度まで下げ、その後、制御の容易な電気ヒーター等で再加熱制御を行っていた。
今回開発したシステムでは高温冷媒(ホットガス)と、フィードフォワードの概念を取り入れた独自のロジック(特許出願中)で制御を行うことで、直膨コイルによる冷却方式でも再加熱用のヒーターを用いずに、最高精度±0.3℃(負荷一定時)の温度制御と約40%の省エネルギーを実現した。
環境試験設備を実装したR&Dセンターについては、今後、さらなる高性能化を目指して検証を進めるとともに、オープンイノベーションの場としても積極的に活用していくとしている。