理化学研究所(理研) 量子コンピュータ研究センター・光量子計算研究チームの阪口淳史特別研究員、古澤 明 チームリーダー(量子コンピュータ研究センター 副センター長、東京大学・大学院工学系研究科 教授)らの国際共同研究グループは7月12日、量子計算のための光電場の非線形測定を初めて実現した。
この研究成果は、光を使った量子コンピューターに於いて汎用的な量子計算を可能にする非線形計算に相当し、誤り耐性型汎用光量子コンピューターの実現に繫がると期待されている。
そもそも非線形測定は光量子コンピューターにおいて「掛け算」を可能にするために不可欠の要素であり、その実現は長年の課題だった。
今回、先の国際共同研究グループは、デジタル回路を用いた柔軟かつ高速な非線形計算を電気-光制御に導入することで、光電場に対する非線形測定器を構築。様々な入力光を用意し、入出力関係から測定器の量子的な性質を確認し、作製した測定器が所望の非線形測定を実行していることを実証した。
なお同研究は、オンライン科学雑誌「Nature Communications」(現地時間2023年7月12日付)」に掲載される。
また当該研究は、科学技術振興機構(JST) ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現(プログラムディレクター:北川 勝浩)」の研究開発プロジェクト「誤り耐性型大規模汎用光量子コンピュータの研究開発(プロジェクトマネージャー:古澤 明)」(JPMJMS2064)の一環として行われた。