ルネサス エレクトロニクスは12月15日、室内空気質(IAQ/Indoor Air Quality)センサプラットフォームZMOD4410に、防水・防塵性能規格の〝IP67(防塵性能6級・防水性能7級/IEC規格)〟に対応するIAQセンサを新たにラインアップし、量産を開始したことを発表した。
このセンサは、キッチン、浴室、病室など、水や油にさらされやすい高湿度な環境や、埃など汚れやすい環境でも動作することができると謳っている。
同社製品として新たな防水パッケージ版となったZMOD4410は、疎水性と疎油性を兼ね備えた材質により、センサを水や埃から保護する独自の密閉パッケージを使用することで、透湿性と揮発性有機化合物(VOC)の透過性を維持しながら飛沫などの水分や埃のある場所での動作が可能になったという。
またZMOD4410は、業界最高クラスの精度および信頼性を併せ持ち、ソフトウェア更新によるアップデートが可能なため、センシングシステムを柔軟に設計することができるという特長もあるとした。ルネサスでは、今回の新型パッケージによりユーザがシステムをカスタマイズできる高い柔軟性と精度を維持しつつ、高価な防水システム無しで、コスト効率良く、防水・防塵のシステムの開発が可能になる製品づくりに努めた。
ルネサスのIoT・インフラ事業本部のセンシングソリューション担当のウーヴェ・ギュンター シニアディレクターは、「飛沫のかかる場所や、水、油、埃に頻繁にさらされる環境でのIAQセンサの使用が増加しており、性能を犠牲にせずセンサを保護するニーズが高まっています。
従来は、ハードウェアやファームウェアの追加が必要で、高価になりがちでしたが、新たな防水センサは、性能と防水性をコスト効率よく組み合わせているため、高湿度で過酷な環境下で高精度に動作する、幅広い用途のスマートセンシングデバイスに使用していただけます」と述べている。なお以下は同社が挙げる発表製品の特徴となる。
防水パッケージ版ZMOD4410センサの主な特長
IP67対応のZMOD4410センサは、疎水性と疎油性を兼ね備えたパッケージのため、回路基板にコンフォーマルコーティング(薄いポリマーフィルム)を施すだけで防水モジュールを作ることができる。
従来のZMOD4410ファミリと同様、ニューラルネットワークによる学習済みファームウェアを活用することによりセンシング性能の向上も可能。新たな防水パッケージ版ZMOD4410は、現在までリリースされているすべてのファームウェアに対応している。
ZMOD4410センサプラットフォーム
ルネサス独自のZMODプラットフォームは、ハードウェアの更新なしにファームウェアの更新で機能の更新・アップデートが可能なため、スマートセンシングシステムの設計の自由度も高まるという。
例えばVOCの検出や、アプリケーション固有の新機能を実現できるだけでなく、国際的なガイドラインに則ったIAQ測定も可能であり、ユーザは低濃度の総揮発性有機化合物(TVOC)をppm単位で測定することができる。
個々のセンサ性能のばらつきが少なく一貫した性能を発揮し、VOCの空中濃度、およびVOC濃度から推定されるCO2(二酸化炭素)濃度を監視することも可能。不具合の原因となるガス物質のシロキサンに対しても高い耐性を有しているため、過酷な用途での使用に高い信頼性を発揮するとしている。
最後に同社では「新たな防水パッケージ版ZMOD4410は、防水性、信頼性、プログラマビリティ、安定性、そしてVOC計測の感度を兼ね備え、スマートHVAC(Heating、Ventilation、Air Conditioning)システム、換気ファン、浴室の照明やスイッチ、ウェアラブル機器など、高湿度環境、飛沫のかかる場所、汚れやすい場所、水に浸かる場所などの多様な環境で使用するIAQデバイスに最適なソリューションです」と製品採用に期待をかけている。
ZMOD4410(防水パッケージ版)の詳細な仕様や問合せ等は以下リンクを閲覧されたい。但し情報入手にあたっては閲覧者情報の入力が求められるケースがあることを留意されたい。
ZMOD4410