パナソニックは、今後、5G搭載が急速に進むと予想される自動運転車・コネクテッドカーをターゲットに、車両全体、全方位で通信性能測定が可能な、国内最大級の電波暗室(※1)を神奈川県横浜市に構築した。
5Gでは複数のアンテナ(MIMO/※2、ビームフォーミング/※3)を使用して大容量通信を実現するが、車両搭載時には、車体への電波の反射や電子機器が放出する電磁波ノイズの影響で、5Gアンテナや無線機単体が持つ性能をそのまま発揮できない場合がある。
しかし、この電波暗室では、効率の良い車両全体の通信性能の評価を可能にすると云う。
また、車両デザイン設計の初期段階から、自動車メーカーと共に同電波暗室を用いた共同評価を行うことで、車両のデザインコンセプトと通信性能を両立させる5Gアンテナと無線機の最適配置に貢献するとしている。
[車両用電波測定システムの特長]
1. 効率の高い全方位測定
2. MIMOアンテナの通信性能評価
3. ビームフォーミング評価
この車両用電波測定システムでは、車両を乗せたターンテーブルを360度回転させながら、疑似基地局タワーを円弧状に移動させ、タワーと車両の距離も変化させることで全方位測定が可能。
また、最大200の周波数ポイントを同時に測定でき、高い測定効率を実現。さらに、パナソニックのアンテナ技術者が、各アンテナの詳細な測定データ解析を行うことにより、複雑なMIMOアンテナやビームフォーミングの通信性能評価の提供ができる。
[車両用電波測定システム概要]
– 電波暗室寸法:29m(D)×21m(W)×9m(H)
– タワー高さ:8m
– 測定半径:0~7 m
– 周波数:700MHz~9GHz、28GHz帯
(※上記以外の周波数対応も可能)
– 同時測定:200周波数ポイント
– 偏波:垂直偏波、水平偏波
– 測定角度:水平角 0~359度、1度ステップ
仰角 0~90度、1度ステップ
※1:同施設はパナソニックSNエバリュエーションテクノロジー所有の設備。
※2:Multiple Input Multiple Outputの略。複数のアンテナで送受信することによりデータ通信速度を高速化する技術。
※3:特定の方向に電波を集中的に向けることで通信品質を向上させる技術。