NEXT MOBILITY

MENU

2021年8月23日【ソフトウェア】

パルテック、MILS向けEVプラントモデルの販売を開始

NEXT MOBILITY編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 

パルテック(PALTEK)は8月23日、自動車開発エンジニアリング事業の「IAT」と販売代理店契約を締結し、電気自動車(EV)の性能予測や制御内容の検証に便利なMathWorks社のSimulinkを用いた、MILS(Model In the Loop Simulation/※1)向けEVプラントモデルを、国内で8月から販売開始したと発表した。

自動車業界では、「CASE(※2)」の潮流により、世界の自動車産業構造が大きく変革し、EVや自動運転、コネクテッドカーなど、次世代の開発アイテムの数が増え続けている。さらに、自動運転車の開発競争も国際的に激化、人材の育成・獲得競争が喫緊の課題になっている。

 

そのような課題を抱えるなか、車載システムの開発現場では、既に導入されている検証環境だけでは、多数の開発プロジェクトを前に限られた技術者で対処しきれなくなっているのが実情だ。

 

そこで、例えばソフトウェア開発を例とした場合、〝仕様検討〟〝要求分析〟〝基本設計〟〝詳細設計〟へ一歩ずつ手順を踏んでいく格好のシミュレーション技術を取り入れた「モデルベース開発」が急速に普及している。

 

この場合、「モデル」を用いて従来開発の各工程を改善し、品質や開発速度を向上することが可能となる。加えてシミュレーションモデルと実物(ハードウェア)を使用したシミュレーション手段と採っていくHILS環境では、ハードアエアを模したプラントモデルを、専用のハードウェア装置で実行し動作検証が行える。

 

パルテックではこれまで、V字プロセスにおける検証装置として「白虎」や「MODEL CUBE」「CAN CUBE」などの製品を販売してきたが、今回、自動車開発にノウハウを持つIATと協業し、開発者が手軽にEVの性能予測や制御内容検証ができるEVプラントモデルの取り扱いを開始。V字プロセスのMILS側の設計プロセスの開発期間短縮や効率化に寄与していくとしている。

 

※1)MILS:PC上での設計段階モデルの検証。

※2)CASE:Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字をとった造語。

 

 

[プラントモデルの仕様:EV]

 

EVモデルは、以下4つのサブシステムから構成。

 

①モータモデル

– 入力:要求トルク/車速
– 出力:消費(発電)電力/実トルク
– 仕様:要求トルクとモータ回転速度からモータの消費(発電)電力を算出。

 

②バッテリモデル

– 入力:放電(充電)電力/初期SOC
– 出力:電池電圧/電池電流/SOC
– 仕様:放電(充電)電力から、電圧と電流とSOCを算出。

 

③ドライバモデル

– 入力:車速
– 出力:IGキー/シフト位置/アクセル開度/ブレーキストローク
– 仕様:上記4つを手動で操作する他、モード走行で目標車速となるようにAIドライバーが操作。

 

④ ビークルモデル

– 入力:モータトルク/ブレーキストローク/勾配
– 出力:車両速度
– 仕様:駆動(回生)力、走行抵抗、ブレーキ力、勾配から加速度を計算し、積算し、車両速度を算出。

 

<主な特徴>

・MathWorks社のSimulinkで使用できる電気自動車のプラントモデル。
・車両仕様は、Microsoft Excelで簡単に設定可能。
・簡易コントローラモデルも付属。
・カスタマイズ可能。

 

<対象>

・開発中のEVの電費性能、航続距離、動力性能の予測。
・EVのモータやバッテリの特性の電費、動力性能等への影響の比較検討。
・簡易コントローラモデルの制御パラメータをMATLABワークスペースに反映。
・車両仕様(重量、走行抵抗)の電費、動力性能等への影響の比較検討。
・開発中のコントローラの制御内容(回生制御等)の性能予測、検証。
・Vモデルをカスタマイズしての性能予測。

 

 

 

 

■パルテック:https://www.paltek.co.jp/index.html

■IAT:http://www.iat-auto.jp/

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。