オンセミは9月4日、日本国内市場に向けて商業規模の太陽光発電用ストリングインバータやエネルギー貯蔵システム(ESS)アプリケーションの出力増強に最適な、最新世代のシリコンとシリコンカーバイド(SiC)のハイブリッドパワー統合モジュール(PIM)を公開した。
これらのモジュールはF5BPパッケージで提供され、前世代と比較して同じ占有面積当たりの電力密度と効率が向上している。ソーラーインバータのシステム合計電力は300kWから最大350kWに増加した。
このことは、最新世代のモジュールを使用した1ギガワット(GW)容量の商業規模のソーラーファームが、1時間当たり約2メガワット(MW)、すなわち年間700戸以上の家庭への電力供給に相当するエネルギーを節約できることを意味する。更に前世代と同じ電力しきい値を達成するのに必要なモジュール数が少なくなり、それによってパワーデバイスの部品コストを25%以上削減できると謳っている。
太陽光発電は、最も低い均等化発電原価(LCOE)を達成したことで、世界中で再生可能エネルギー発電の主流になりつつある。また太陽光発電の変動性を補償する目的で、電力会社は送電網への安定したエネルギーフローを確保するために大規模バッテリエネルギー貯蔵システム(BESS)の追加も相次ぐ。
そのような流れから、メーカーと電力会社は最大限の効率と信頼性を実現した電力変換を提供するソリューションを必要としている。0.1%の効率改善は、設備容量1ギガワットあたり年間25万ドルの運用コストの削減に相当するからだ。
より具体的にF5BP-PIMは、1050V FS7 IGBTと1200V D3 EliteSiCダイオードを統合しているため、高電圧および大電流の電力変換を容易に実現する基盤を形成しながら、電力損失を低減し、信頼性を向上させる。
FS7 IGBTはターンオフ損失が低く、スイッチング損失も最大8%低減させる。またEliteSiCダイオードは優れたスイッチング性能を実現し、前世代と比較して電圧フリッカー(VF)も15%低減する。
なお、これらのPIMは、インバータモジュールに革新的なI型中性点クランプ(INPC)を、ブーストモジュールにフライング・キャパシタ・トポロジを採用。最適化された電気的レイアウトと先進のDBC(Direct Bonded Copper)基板を使用して、浮遊インダクタンスと熱抵抗も低減させた。
加えて、銅ベースプレートにより、ヒートシンクへの熱抵抗が更に9.3%低減され、高い動作負荷の下でも、モジュールは冷却状態を維持できる。この熱管理は、モジュールの効率と寿命を維持する上で極めて重要であり、信頼性と持続的な電力供給を必要とする要求の厳しいアプリケーションに対して非常に効果的であるとしている。
今回の最新パワーモジュールを発表についてオンセミのパワーソリューションズ・グループのインダストリアル・パワーディビジョンでバイスプレジデントを務めるスラヴァン・ヴァナパーティ氏(Sravan Vanaparthy)は、「太陽光発電は、太陽光に依存する変動エネルギー源です。
従って電力需要のピーク時およびオフピーク時に、世界の送電網の安定性と信頼性を維持できるように、システム効率の向上、信頼性の向上、高度なストレージソリューションの導入を拡大するための継続的な進歩が必要です。
今発表の最新パワーモジュールが利活用されることにより、効率の高いインフラが普及を促進され、太陽光発電の建設が増えるほど、エネルギーの浪費が減り、化石燃料からの脱却が進むことを確信できます」と説明している。
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製品ページ:
NXH500B100H7F5SHG, NXH600N105L7F5P2HG, NXH600N105L7F5S2HG, NXH600N105L7F5SHG
・データシート: NXH500B100H7F5SHG
・ソリューションガイド: ソーラーインバータ、エネルギー貯蔵
・EliteSiC製品ページ
・ホワイトペーパー: シリコンカーバイドの課題を克服してアプリケーションを成功に導く