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2024年6月6日【IoT】

オンセミ、データセンタ向けのパワーソリューションを発表

坂上 賢治

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小さいフットプリントで高効率と高熱性能を提供するソリューションが実現

 

今日、AIワークロードの膨大な処理要件をサポートするためにデータセンタの電力消費量が増大する中で、エネルギー効率を向上させる必要性が高まっている。オンセミのT10 PowerTrenchファミリとEliteSiC 650V MOSFETの強力な組み合わせは、データセンタアプリケーション向けに、小さいフットプリントで比類のない効率と高い熱性能を提供するソリューションを実現するという。

 

 

例えば一般的な検索エンジンのリクエストに比べて、AIがサポートするエンジンのリクエストが10倍以上の電力を必要とするため、データセンタの電力需要は2年以内に全世界で推定1,000 TWh( テラワット時/IEA report, Electricity 2024 )に達すると予想されている。

 

このようなAIがサポートする1つのリクエストを処理するために、エネルギーはグリッドからプロセッサに4回変換され、それによって約12%のエネルギー損失が生じる可能性があるが、T10 PowerTrenchファミリとEliteSiC 650V MOSFETのソリューションを使用することで、データセンタで発生する電力損失を推定1%削減することができる。

 

 

このソリューションが世界中のデータセンタに導入された場合、年間10 TWhすなわち年間約100万戸近くの家庭の電力を賄うのに必要な量に相当するエネルギー消費を削減できるとしている( 米国エネルギー情報局<EIA>による家庭の年間電力消費量に基づくもの )。

 

 

またEliteSiC 650V MOSFET は、優れたスイッチング性能と低いデバイス容量により、データセンタやエネルギー貯蔵システムで高い効率を達成。これらの新世代シリコンカーバイド(SiC)MOSFETは、前世代と比較してゲート電荷を半減し、出力容量に蓄積されるエネルギー(Eoss)と出力電荷(Qoss)の両方を44%削減する。

 

動作周波数を高くしつつ小型化でき、全体的なシステムコストを削減できる

 

ターンオフ時のテール電流がなく、高温でも優れた性能を発揮するため、スーパージャンクション(SJ)MOSFETと比較してスイッチング損失も大幅に低減できる。これにより、動作周波数を高くしながらシステム部品を小型化することができ、全体的なシステムコストを削減できる。

 

これとは別に、T10 PowerTrenchファミリは、DC-DC電力変換ステージに不可欠な大電流を処理するように設計されており、コンパクトなフットプリントで電力密度の向上と優れた熱性能を提供する。

 

 

これは、超低ゲート電荷と1ミリオーム未満のRDS(on)を誇るシールドゲート・トレンチ設計によって達成され、更にソフトリカバリ・ボディダイオードと低Qrrにより、リンギング、オーバシュート、電気ノイズを効果的に最小化して、ストレス下でも最適な性能、信頼性、堅牢性を確保する。加えてT10 PowerTrenchファミリは、車載アプリケーションに要求される厳しい規格にも適合している。

 

以上、T10 PowerTrenchファミリとEliteSiC 650V MOSFETの組み合わせは、ハイパースケールの運用者が次世代のハイパワープロセッサをサポートするために要求されるOpen Rack V3 (ORV3)の厳しい基本仕様にも適合。

 

従ってオンセミのパワーソリューションズ・グループで、グループ・プレジデントを務めるサイモン・キートン氏(Simon Keeton)は、「AIと電動化は私たちの世界の形を変え、電力需要を急増させています。パワー半導体の技術革新を加速させてエネルギー効率を向上させることが、こうしたテクノロジーメガトレンドを生み出すための鍵です。オンセミの最新のソリューションは、エネルギー変換プロセスで発生する電力損失を大幅に削減し、次世代データセンタの要求に大きな影響を与えることができます」と語っている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。