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2024年6月19日【IoT】

エヌビディア、AI技術を加速させる開発環境の新構築へ

坂上 賢治

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NVIDIAは6月19日、物理センサーシミュレーションの活用により、あらゆる種類の完全自律型マシンの開発を加速させるマイクロサービスセットのNVIDIA Omniverse Cloud Sensor RTX™(エヌビディア オムニバース クラウドセンサーRTX)を発表した。

 

数十億ドル規模とも言われる成長著しい同産業向けセンサーは、自律走行車、ヒューマノイド、産業用マニピュレーター、モバイルロボット及びスマートスペースの物理世界を理解し、情報に基づいた意思決定を行うためのデータを提供する。

 

このNVIDIA Omniverse Cloud Sensor RTXにより、開発者は現実世界での実展開前の段階に於いて、極めてリアルな仮想環境上で、センサーの知覚と、それに関連するAI ソフトウェアの大規模テストを実施することが可能になるため、安全性を高めながら時間と費用を節約できるようになるという。

 

NVIDIAのOmniverse製品及びシミュレーションテクノロジ担当のバイスプレジデントを務めるレヴ レバレディアン氏 (Rev Lebaredian) は、「生成された物理AIを活用して、安全で、信頼できる自律マシンを開発するには、精緻な物理ベース上の仮想世界で綿密なトレーニングとテストを行う必要があります。

 

NVIDIA Omniverse Cloud Sensor RTXマイクロサービスにより、開発者は、工場、都市、更には地球規模の大規模デジタルツインを簡単に構築できるようになり、AIの新たな波の到来を加速させることができるようになるでしょう」と述べた。

 

また更にレバレディアン氏は、OpenUSDフレームワーク上に構築され、NVIDIA RTX™ レイトレーシングとニューラル レンダリング テクノロジを搭載したOmniverse Cloud Sensor RTX は、ビデオ、カメラ、レーダー及びLiDARを通じて得られる現実世界のデータと、合成データを組み合わせることによって仮想環境の構築手順をより容易にします。

 

仮に現実世界のデータが限られているシナリオの場合であっても、マイクロサービスを使えば、ロボット アームが正しく作動しているかどうか、空港の手荷物引き渡し用ターンテーブルが機能しているかどうか、木の枝が道路を遮っていないかどうか、工場のコンベアベルトが正しく動いているかどうか、あるいはロボットまたは人が近くにいるかなど、幅広い範囲での活動シミュレーションができるようになるのです」と畳み掛けた。

 

なおこれらの技術と成果により生み出された実例は以下の通りとなる

 

研究者の受賞が現実世界での導入を後押し
Omniverse Cloud Sensor RTX の発表とほぼ同じ頃、NVIDIAはComputer Vision and Pattern Recognition (CVPR) カンファレンスに於いてEnd-to-End Driving at Scale部門のAutonomous Grand Challengeで優勝した。

 

またNVIDIAの研究者が手がけて優勝を果たしたワークフローでは、Omniverse Cloud Sensor RTXによって、忠実度の高いシミュレーション環境で再現することが可能で、自律走行車 (AV) シミュレーションの開発者は、現実世界にAVを展開する前に、物理的に正確な環境で自動運転のシナリオをテストできるようになる。

 

エコシステムでの利用と提供時期
ForetellixとMathWorksは、AV開発用にNVIDIAからOmniverse Cloud Sensor RTX の提供を受ける最初のソフトウェア開発企業であり、これらはOmniverse Cloud Sensor RTX により、センサー メーカーも仮想環境で自社センサーのデジタルツインを検証と統合できるようになるため、物理的なプロトタイピングに必要な時間を削減できるようになっている。

 

なおOmniverse Cloud Sensor RTXの早期アクセスには、登録が必要であり、またOmniverse Cloud Sensor RTXは今年後半に提供を予定していると結ばれている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。