NVIDIAは6月19日、物理センサーシミュレーションの活用により、あらゆる種類の完全自律型マシンの開発を加速させるマイクロサービスセットのNVIDIA Omniverse Cloud Sensor RTX™(エヌビディア オムニバース クラウドセンサーRTX)を発表した。
数十億ドル規模とも言われる成長著しい同産業向けセンサーは、自律走行車、ヒューマノイド、産業用マニピュレーター、モバイルロボット及びスマートスペースの物理世界を理解し、情報に基づいた意思決定を行うためのデータを提供する。
このNVIDIA Omniverse Cloud Sensor RTXにより、開発者は現実世界での実展開前の段階に於いて、極めてリアルな仮想環境上で、センサーの知覚と、それに関連するAI ソフトウェアの大規模テストを実施することが可能になるため、安全性を高めながら時間と費用を節約できるようになるという。
NVIDIAのOmniverse製品及びシミュレーションテクノロジ担当のバイスプレジデントを務めるレヴ レバレディアン氏 (Rev Lebaredian) は、「生成された物理AIを活用して、安全で、信頼できる自律マシンを開発するには、精緻な物理ベース上の仮想世界で綿密なトレーニングとテストを行う必要があります。
NVIDIA Omniverse Cloud Sensor RTXマイクロサービスにより、開発者は、工場、都市、更には地球規模の大規模デジタルツインを簡単に構築できるようになり、AIの新たな波の到来を加速させることができるようになるでしょう」と述べた。
また更にレバレディアン氏は、OpenUSDフレームワーク上に構築され、NVIDIA RTX™ レイトレーシングとニューラル レンダリング テクノロジを搭載したOmniverse Cloud Sensor RTX は、ビデオ、カメラ、レーダー及びLiDARを通じて得られる現実世界のデータと、合成データを組み合わせることによって仮想環境の構築手順をより容易にします。
仮に現実世界のデータが限られているシナリオの場合であっても、マイクロサービスを使えば、ロボット アームが正しく作動しているかどうか、空港の手荷物引き渡し用ターンテーブルが機能しているかどうか、木の枝が道路を遮っていないかどうか、工場のコンベアベルトが正しく動いているかどうか、あるいはロボットまたは人が近くにいるかなど、幅広い範囲での活動シミュレーションができるようになるのです」と畳み掛けた。
なおこれらの技術と成果により生み出された実例は以下の通りとなる
研究者の受賞が現実世界での導入を後押し
Omniverse Cloud Sensor RTX の発表とほぼ同じ頃、NVIDIAはComputer Vision and Pattern Recognition (CVPR) カンファレンスに於いてEnd-to-End Driving at Scale部門のAutonomous Grand Challengeで優勝した。
またNVIDIAの研究者が手がけて優勝を果たしたワークフローでは、Omniverse Cloud Sensor RTXによって、忠実度の高いシミュレーション環境で再現することが可能で、自律走行車 (AV) シミュレーションの開発者は、現実世界にAVを展開する前に、物理的に正確な環境で自動運転のシナリオをテストできるようになる。
エコシステムでの利用と提供時期
ForetellixとMathWorksは、AV開発用にNVIDIAからOmniverse Cloud Sensor RTX の提供を受ける最初のソフトウェア開発企業であり、これらはOmniverse Cloud Sensor RTX により、センサー メーカーも仮想環境で自社センサーのデジタルツインを検証と統合できるようになるため、物理的なプロトタイピングに必要な時間を削減できるようになっている。
なおOmniverse Cloud Sensor RTXの早期アクセスには、登録が必要であり、またOmniverse Cloud Sensor RTXは今年後半に提供を予定していると結ばれている。