NVIDIAは、6月4日、台北 Computex 2018 で、自律動作マシンの新たなプラットフォーム、「NVIDIA Isaac」をリリースすることを発表した。
「NVIDIA Isaac」は、新しいハードウェアとソフトウェア、そして仮想世界のロボット シミュレーターから構成されている。
販売は、各国の販売代理店を通じて、1,299ドルで、また提供は、早期アクセスを提供する顧客に対し、8月から開始される。
同社は、これにより、製造、物流、農業、建設をはじめ、さまざまな業界のロボットに人工知能をもたらすとしている。
創業者兼CEOのジェンスン フアン (Jensen Huang) は、次のように述べている。
「AIは、現代のテクノロジにおいてもっとも大きな影響力を持っています。その第1段階では、さまざまな業界の生産性を押し上げるかつてないレベルのソフトウェア オートメーションを実現することが期待されています。続いて、センサーやアクチュエーターと接続されたAIは、新世代の自律動作マシンの脳の役割を果たすようになるでしょう。やがては、製造、宅配、倉庫、物流をはじめ、数多くの分野で何十億というインテリジェント マシンが活躍するようになるはずです。」
[NVIDIA Isaacを構成するハードウェアとソフトウェア]
<Jetson Xavier>
Jetson Xavierは、NVIDIA Isaacの核となる、ロボティクス専用コンピューターで、90億個を超えるトランジスターを搭載し、30TOPS (毎秒30兆回) を上回る演算を処理。ワークステーションをしのぐ処理能力を備えながら、消費電力は電球の3分の1程度だとしている。
6種類のプロセッサ (Volta TensorコアGPU、8コアのARM64 CPU、デュアル NVDLAディープラーニング アクセラレータ、イメージ プロセッサ、ビジョン プロセッサ、ビデオ プロセッサ) が搭載され、センサーの処理や自己位置の推定、地図上での位置の特定、地図の作成、ビジョンと認知、パス プランニングなどに必要な何十ものアルゴリズムが、同時に、リアルタイムで処理できると云う。
また同社は、ロボットがセンサーからの入力情報の処理、地図上での自らの位置の特定、周辺環境の把握、付近にある物体の認識と動きの予測、実行する動作の判断、安全なアーティキュレーションを行うには、このレベルの性能が不可欠だとしている。
<Isaacロボティクス ソフトウェア>
NVIDIA Isaacのソフトウェアには、Jetson Xavierのシミュレーション、トレーニング、検証、展開に役立つツールボックスを提供。このロボティクス ソフトウェアには以下のものが含まれる。
● Isaac SDK – 徹底して加速化されたライブラリを使って、ロボティクス用アルゴリズム ソフトウェアとランタイム フレームワークを開発できる、一連の API とツール。
● Isaac IMX – NVIDIAが開発した一連のロボティクス用アルゴリズム ソフトウェアの、Isaac インテリジェント マシン アクセラレーション アプリケーション。
● Isaac Sim – 開発者がJetson Xavierを使って自律動作マシンのトレーニングやHIL (hardware-in-the-loop) テストを実施できる、仮想シミュレーション環境。
NVIDIAは、Isaacの可能性について、以下のようにコメントしている。
「このレベルのAIコンピューティング能力を獲得したエッジ側の自律動作マシンは、あらゆる種類のセンサーから周辺環境を検知して認識し、人間を超える能力を発揮して自己を取り巻く世界を把握できるようになります。そうすれば、製造ロボットが人間と肩を並べて安全に働き、変化に対応することも、物流ロボットが効率的に在庫の移動と管理を行い、商品を各家庭に配送することも、あるいはサービス ロボットが小売体験を向上させ、病人やお年寄りを支援することも可能になります。」
■NVIDIA Jetson Xavier(英語):
https://developer.nvidia.com/jetson-xavier
■NVDIA ISAAC—THE PLATFORM FOR ROBOTICS(英語)
https://www.nvidia.com/en-us/deep-learning-ai/industries/robotics/