日本電信電話(NTT)は11月7日、日本での自動運転技術を活用したサービスの本格実用化を見据え、米国の先ずは、May Mobility (メイ・モビリティ)の投資ラウンド・シリーズDにリードインベスターとして出資。同社の自動運転システムの国内独占販売権を獲得すると発表した。
このMay Mobilityとは、日本の交通事情にも適合する自動運転技術に強みを持ち、北米及び日本の12都市で35万回以上の自動運転走行の実績を持つテクノロジー企業だ。
今回NTTがMay Mobilityへの出資に動いた理由は、近年、少子高齢化や物流の2024年問題(働き方改革法案によりドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限される等)などを背景に、地域に於ける運転手不足が顕在化していること。
またこれを踏まえ、日本国内で自動運転技術による社会課題の解決が期待されていること。加えて今年の4月1日には、改正道路交通法が施行され、特定条件の下で自動運転レベル4での公道走行が許可されるなど、自動運転サービスの社会実装に向けた機運も高まっていることなどがある。
そこでNTTは、これらの背景を勘案しより安全な自動運転サービスの実現に向けて、5Gやローカル5G、6Gといった高速・高信頼の通信ネットワークサービス環境やIOWN(アイオン)構想を持つ強みを活かしていきたい考え。
これを前提として今回、自動運転のキーテクノロジーを有するMay Mobilityに出資すると共に、同社の自動運転システムの国内独占販売権を獲得。出資を通じて、より安全な自動運転サービスを継続的に供給する体制を整えていく姿勢を表明したことになる。
<出資先について>
– 出資先企業:May Mobility, Inc.,
– 代表者:Edwin Olson
– 所在地:650 Avis Drive Suite 100 Ann Arbor, Michigan, 48108, USA
– 事業内容:自動運転システムの開発。自動運転シャトルバスサービスの提供。
今後NTTは、地域の交通事業者、地域住民をはじめとする、多様なステークホルダーとの連携。特に2020年3月よりスマートシティ事業で長期・継続的な協業関係にあるトヨタ自動車との連携を、自動運転車両提供を含む取り組みに於いても深めていく。
より具体的には、自動運転サービスの需要が見込まれる地域へ社会実装を働き掛ける。先ずは、交通課題を抱える複数の地方自治体との協働を通じて、コミュニティバスによるサービス提供等に取り組む。その後は、自動運転車両を様々な車種に拡大していきたいとしている。
そうした施策の拡大にあたっては、車両、自動運転システム、通信ネットワーク、遠隔監視など、自動運転サービス普及の仕組みをグループを通じて提供する体制を構築。
地域のステークホルダーとの綿密なコミュニケーションも図りつつ、自動運転サービスの社会受容性の向上に寄与し、より安全な自動運転サービスを提供してく構えだ。
また、移動そのもののDXである自動運転サービスの提供に、これまで培ってきた地域密着の課題解決力を組み合わせることで、地域における交通課題の解決だけではなく、地域経済や健康・福祉など様々な領域で抱える社会課題の解決にも貢献したい意向だ。