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2024年8月29日【IoT】

NTTと中華電信、世界初のIOWN国際間ANPが開通

坂上 賢治

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今後、コネクテッドカーの未来にも関わってくるNTTグループ(日本電信電話)のIOWNは、中華電信股份有限公司(中華電信)との国際間オールフォトニクスネットワーク(APN/全てが光で完結するネットワーク技術)を開通させた。

 

より具体的には、NTTと中華電信は、先の2023年10月25日に締結した基本合意書に基づき、双方のオールフォトニクス・ネットワークを用いて8月29日、中華電信のデータセンタ(台湾:桃園市内)からNTT武蔵野研究開発センタ(日本:武蔵野市内)までを開通し、約3,000kmの長距離を片道約17msec(17ミリ秒以下)の低遅延かつゆらぎのない安定した通信を実現した。

 

 

このAPNらよる国際間開通は世界初の事例となった。今後は、この国際間APNを用いて、グローバルレベルでのビジネス展開を両社で推進してまいります。なお、本APNを用いた各種デモンストレーションをNTT R&D Forum 2024等で展示される。

 

1. 背景
2023年10月25日に締結した基本合意書(IOWNによる国際ネットワーク接続の実現に向けた基本合意)に基づき、両社が強みとする、光伝送技術や無線伝送技術、NTT・中華電信での社会実装の実績を基に日本と台湾間でIOWNのAPN技術を活用した国際間のネットワークを世界で初めて開通させた。

 

2. 取り組み内容
そんな今回の国際間APNの開通にあたり、NTTは、NTT武蔵野研究開発センタ(日本:武蔵野市緑町)から日本国内の海底光ファイバー陸揚げ局まで。中華電信は、そこから台湾の陸揚げ局、桃園データセンター(台湾:桃園市桃園)までのAPNを構築。そして両社が協力し、それぞれの区間を接続すると共にEnd-to-Endでの通信が安定して行われることを確認した。

 

この国際間APNは100Gbpsの光パスで実現。通信品質試験を行った結果、遅延は片道で16.92msec、遅延ゆらぎはほとんど確認できなかった(表1)。なお同国際間APNは、IOWN Global ForumのOAA(Open All-Photonic Network Functional Architecture 2.0)に対応している様々なメーカーの機器を利用し、相互接続を実現している。

 

図1. 国際間APNのネットワーク構成

表1. 遅延・ジッタの測定結果

 

この取り組みの成果についてNTTの島田明代表取締役社長は、「NTTとCHTの国際協力により、日本と台湾の間で世界初となるIOWN APN国際接続が実現したことを嬉しく思います。この接続により、日本と台湾の産業連携が加速すると信じています。NTTとCHTは、世界中の多様なサービスプロバイダーやベンダーとともに、IOWNサービスを世界中で開発・提供していきます」と述べた。

 

対して中華電信の郭水義 会長兼CEOは、「台湾の大手通信会社である中華電信は、日本の大手通信会社であるNTTとIOWNの協力を推進できることを嬉しく思います。世界初の国際IOWN APNというこの画期的な成果は、IOWNの革新的な技術を開発するという当社の取り組みを示すものです。私たちは共にグローバルな接続性の未来を形作り、社会の繁栄と発展に貢献していきます」と述べた。

 

3. 今後の展開
今後、両社は協力体制を採る下に於いて、日本と台湾に拠点を置く半導体分野などの製造業を中心に被災時のBCP対策としてのデータバックアップやレプリケーションサービス、大規模言語モデル(tsuzumi)などを将来的に提供していく構えだという。

 

 

またNTT単独としては、2025年大阪・関西万博NTTパビリオンデーの大阪・関西万博会場 EXPO ホール「シャインハット」で中村獅童氏、初音ミク他の出演による「超歌舞伎〈CHO-KABUKI〉Powered by IOWN『今昔饗宴千本桜 Expo2025 ver.』(2025年5月24日、25日)」の公演を計画、これらの国際APNの活用も検討しているとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。