日産自動車は4月8日、総合研究所(神奈川県横須賀市夏島)内に設置した、全固体電池の積層ラミネートセルを試作生産する設備を初公開した。
全固体電池は、従来比約2倍のエネルギー密度や、優れた充放電性能、より安価な材料の組み合わせによるバッテリーコストの低減等、電気自動車(EV)の普及を促進させるゲームチェンジャーとなる技術として期待されている。
日産は、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」に於いて、2028年度までに自社開発の全固体電池搭載のEVを市場投入を目指しており、その量産化に向けたパイロットラインを、横浜工場内に2024年度までに設置することを計画。今回、このパイロットラインで量産試作を行う仕様の材料、設計、製造プロセスの検討を行う試作生産設備を公開した。
なお、この全固体電池について、日産では、2028年度に1kWhあたり75ドル、さらにその後はEVがガソリン車と同等のコストレベルとなる65ドルまで低減可能なポテンシャルがあると考えていると云う。
全固体電池の研究開発を担当する中畔邦雄副社長は、以下のように話している。
「日産は、分子レベルのバッテリー材料研究から、安全で高性能なEV車両開発、さらにはEV蓄電池として活用した街づくりまで、幅広く研究開発を行い、電動化技術をリードしてきました。過去の経験から得られた知見は、全固体電池の開発を支えています。全固体電池については、重要な要素技術が積みあがってきています。今後、開発部門と生産部門で一体となってこの試作生産設備を活用し、全固体電池の実用化を加速します」。