日産自動車は6月9日、緊急回避性能の飛躍的な向上に繫がる次世代LiDAR(ライダー)を活用した運転支援技術を搭載した試作車が、交差点で緊急回避操作を自動的に行うデモンストレーションを公開した。
こうした交差点での出会い頭の事故は、信号や標識の見落としなどのドライバーの不注意により発生し、重大な被害に繫がる。
今回日産は、こうした事故が起こる恐れがある時に、高度なセンシングと判断能力で衝突を自動的に回避する技術を開発した。同技術がドライバーを支援することにより事故低減に大きく貢献すると謳っている。
具体的には、信号や標識を見落とした車両が目の前に現れた時には、相手の位置や速度の変化を高い精度で計測。必要なブレーキ操作を瞬時に判断し衝突を回避する。
なお急ブレーキを作動させた後も、危険を回避し次第ブレーキを解除するなど、状況の変化に直ちに対応するという。
目下、日産が開発している高性能な次世代LiDARを用いたグラウンド・トゥルース・パーセプション技術(開発中の技術であるため、直ちに市販車に搭載されるものではない)は、極めて判断が難しい複雑な状況に於いて、周囲の情報を正確に捉え、瞬時に判断し、危険を回避することを可能とする。
こうした技術に係るデモンストレーションについて日産の研究・先行開発を担当する専務執行役員の浅見孝雄氏は「日産は、長期ビジョンNissan Ambition 2030に於いて、高性能な次世代LiDARを活用した衝突回避技術の開発に取り組むことを表明しています。
この技術の開発は、2020年代半ばまでの完了に向けて順調に推移しています。日産は、お客さまに安心して使っていただける自動運転技術の実現に向け、リアルワールドで発生する複雑な事故の分析を進め、事故を防ぐ能力を飛躍的に向上させる技術の開発を推進しています」と話している。