日本ガイシ(NGK)は11月22日、グループビジョンで掲げる“カーボンニュートラル(CN)”と“デジタル社会(Digital Society/DS)”の両関連分野に事業構成を転換するため、本社地区に「共創施設」と「CN関連製品開発エリア」を新設すると発表した。これにより、CN・DS関連製品の開発・事業化を加速させると云う。
NGKグループは、中長期ビジョン“NGKグループビジョン Road to 2050”に於いて、「独自のセラミック技術でカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する」ことをありたい姿として定め、これら分野で2030年には売上高の50%、2050年には80%を占めるよう事業転換することを目指している。
その加速のため、昨年11月に発表した新研究開発棟も含め150億円規模の設備投資を実施し、研究開発機能が集約されている本社地区を再編・整備して以下の拠点を新設する。
1.共創施設(仮称)(熱田地区)
オープンイノベーションの推進や独自のセラミック技術で社会に新しい価値を提供するための拠点として、同社製品やコア技術を紹介するエリア、社外とのアイディエーションを行うエリア、社内外の出会いや交流を作り出すエリアといった新たな共創施設を、熱田地区に建設する。
施設では、同社が出資する“エネコートテクノロジーズ”のペロブスカイト太陽電池(※1)を屋内に設置し、その発電性能の実証を計画するなど、社内外の様々な技術や知識、ノウハウを融合させることで共創を推進。迅速かつ効率的な新製品・新事業の創出を目指す(竣工は2025年5月を予定)。
さらに、この共創施設から生まれたアイデアを、隣接して建設中のDS関連の新研究開発棟(2025年6月稼働開始予定)で評価・実証し、その結果を共創施設で再検証するといったサイクルにより相乗効果を生み出し、新製品の早期創出につなげていく。
<共創施設(仮称)概要>
– 所在地:名古屋市瑞穂区須田町2番56号(本社地区内)
– 建築面積:約2,200平方メートル
– 延床面積:約4,350平方メートル
– 竣工(予定):2025年5月
※1:結晶構造の材料であるペロブスカイトを用いた新しい太陽電池。現在主流の結晶シリコン太陽電池に比べ、薄くて軽く、曲げられるという特長を持つため、曲面などこれまで太陽電池を設置できなかったところでの発電も可能となる。(NGK)ペロブスカイト太陽電池の京都大学発スタートアップ企業に出資 (2022年3月28日リリース)。
2.CN関連製品開発エリア(瑞穂地区)
既存の自動車排ガス浄化用セラミック製品の開発・生産エリアの一部を、現在開発を進めている、大気中の二酸化炭素(CO2)を直接回収する「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)用セラミック基材」(※2)や、「CO2の吸着材をDAC用セラミック基材に塗布(担持)する技術」といったCN関連新製品の開発・試作エリアとして再編する(11月より稼働)。
このDACエリアの整備・拡張を今後も段階的に進めていくことで開発体制を強化し、2025年の実証試験への参画や2030年の量産体制確立を目指していくほか、2025年6月には、CO2の回収・有効利用・貯蔵(CCUS)などに貢献する「サブナノセラミック膜」の開発エリア(分離膜エリア)を新たに整備するなど、CN関連製品の開発を推進していく。
※2:DAC用基材に求められる性能は、自動車排ガス浄化用セラミックスに求められる性能と共通したものが多いため、これまでに培ったセラミック製ハニカム構造体の技術を応用。