NEXT MOBILITY

MENU

2024年10月10日【テクノロジー】

ネジロウとJR東海、新幹線の新たな電車線金具を開発

坂上 賢治

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

資料提供:JR東海©NejiLaw(ネジロウ/東京都文京区)は、東海旅客鉄道(JR東海)と、両者互いに保有する技術を組み合わせて、緩み止め性能を向上させた新しい電車線金具を開発(特許出願済)し、この程JR東海の管理する営業線での性能確認試験を開始した。

 

NejiLawは、発明家の道脇裕氏が代表取締役社長を務める企業で、らせん構造の上時期を覆す新たな構造設計を編み出し緩まないネジを設計・開発したことで、先の2014年に産業革新機構(INCJ)から出資を受けた。

 

そんな道脇氏は、小学校の頃、自らで休学宣言をして以降、職人達が働く様々な現場で多様な経験しながら革新的な製品設計を手掛けてきたが、今回は、東海道新幹線へ電力を供給するトロリ線に着目した。

 

 

東海道新幹線では、金具によってトロリ線を一定の高さに保つことで、パンタグラフを介して列車に安定した電気を供給している。この金具(電車線金具)の健全性を維持するため、これまでは全ての金具について定期的に締結ボルトの状態等を検査してきた。

 

しかしこの検査作業は、人が至近距離から行う必要があるため、列車が走行しない夜間の限られた時間帯にしか実施できず、また、電車線金具は全線で40万個を超えるため、検査に多大な人員と時間を要していた。

 

そこで、今後の労働力不足を見据えた検査の省力化を目的に、緩み止め性能を向上させた新しい電車線金具を開発し、営業線での性能確認試験を開始した。その概要は以下の通り。

 

1.概要(別紙1、2)
・ 夜間に行う電車線金具の検査では、列車通過時の振動で金具の締結ボルトに緩みが発生していないかなどを確認するため、至近距離での目視確認や工具で金具の取付部を叩く打点検を行っていね。また必要により、締結ボルトの増し締めも行ってきた。

 

・ これらの作業を削減することを目的に、JR東海とNejiLawが開発した一度締めると振動では緩まないL/Rネジの締結技術と、JR東海が持つ電車線金具に関する技術を組み合わせて、新しい金具を開発した。(特許出願済)

 

・ 同金具は、JR東海の小牧研究施設などで振動試験を行い、振動で締結ボルトが緩むことなく電車線金具として必要な性能を有していることを確認し、その上で営業線での性能確認試験を開始した。

 

 

 

2.導入効果
・ 電車線金具の緩み止め性能が向上するため、設備の健全性がより一層向上する。

 

・ 電車線金具の締結ボルトの緩み確認の削減が見込まれ、検査の省力化が期待できる。

 

・ また、増し締め作業が不要になり、作業にかかっていたコストについても削減できる見込み。

 

 

3.今後の予定
・ 2026年12月まで営業線での性能確認試験を行う予定。

 

・ 並行して、三和テッキ、NejiLaw MO IP Innovation、ジェイアール東海商事とJR東海で、量産化の検討を行い2027年度以降の導入を目指す構えだ。

 

会社概要
商号 :株式会社 NejiLaw
代表者 :代表取締役社長 道脇 裕
本社所在地 :東京都文京区本郷3-23-14 ショウエイビル4F
設立 :2009年7月
資本金 :499,000,000円
URL :http://www.nejilaw.com/

 

商号 :東海旅客鉄道株式会社(JR東海)
代表者 :代表取締役社長 丹羽 俊介
本社:愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 JRセントラルタワーズ
本社(東京):東京都港区港南二丁目1番85号 JR東海品川ビルA棟
設立日 :1987年4月1日
資本金:1,120億円
営業収益:11,433億円
URL:https://company.jr-central.co.jp/

CLOSE

坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。