理化学研究所(理研)は、理研が開発主体となって開発・整備を推進しているスーパーコンピュータのポスト「京(けい/※1、※2)」の名称を「富岳(ふがく)」に決定した。
「富岳」は”富士山”の異名で、その高さがポスト「京」の性能の高さを表し、裾野の広がりがポスト「京」のユーザーの拡がりを意味。
また、海外の人からの知名度も高く名称として相応しいこと、さらにはスーパーコンピュータの名称は山にちなんだ名称の潮流があること、発音しやすいことが選考の理由だと云う。
今後、ポスト「京」は、スーパーコンピュータ「富岳(英語表記:Supercomputer “Fugaku)」の名称で呼ばれることとなる。
理研は、開発・整備を進めているポスト「京」について、世界トップレベルの研究拠点・スーパーコンピュータであることが周知でき、日本国内のみならず、世界中の人にとって親しみやすい名称であることを期待して、その名称を一般公募。これに対し、2月15日から4月8日までの募集期間に5,181件の応募があった。
その中で、無効59件を除いた有効応募数は5,122件で、同名重複を除いた最終的な候補数は2,487件。その中から、外部委員を含めた理研のポスト「京」ネーミング委員会が候補を選定し、理事会議で決定した。
ちなみに、同委員会が選定した名称候補は、「富岳(ふがく)、穹(きゅう)、叡(えい)、Yukawa(ゆかわ)、凌駕(りょうが)、光明(こうみょう)、解(かい)」。応募の多かった名称候補 (上位3件) 「1位 垓(がい)、2位 雅(みやび)、3位 極(ごく)」だった。
なお、「富岳」名称応募者の氏名と都道府県は、理研ホームページに掲載され、後日記念品が贈呈される。
また理研では、名称決定と合わせて今後、「富岳」のイメージに合うロゴマークを作成するとしている。
[ポスト「京」ネーミング委員会 委員名簿(五十音順、敬称略)]
<委員長>
– 松岡 聡、理研計算科学研究センター センター長
<委員>
– 石川 裕、理研計算科学研究センター フラッグシップ2020プロジェクト プロジェクトリーダー
– 市村 強、東京大学地震研究所 教授
– イリス・ヴィーツォレック(Iris Wieczorek)、IRIS科学・技術経営研究所 代表
– ジェンズ・ウィルキンソン(Jens Wilkinson)、理研 国際部
– 岡谷 重雄、理研 副理事
– 金 文京、京都大学 名誉教授
– 瀧澤 美奈子、科学ジャーナリスト
– 三浦 謙一、国立情報学研究所 名誉教授
– 美濃 導彦、理研 理事
– 村山 斉、UCバークレー校 物理学教授
※1)スーパーコンピュータ「京」:文部科学省が推進する革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の中核システムとして、理化学研究所と富士通が共同で開発を行い、2012年9月に共用を開始した、計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。
※2)ポスト「京」:2020年代に、ますます複雑化する社会のさまざまな課題の解決やサイエンスの探究を通じて日本の成長に貢献し、世界をリードする成果を生み出すことを目的としたスーパーコンピュータ「京」の後継機。創薬や防災、産業競争力の強化などを実現するシミュレーションに加え、AI(深層学習)やビッグデータの基盤としての利活用が期待されている。最大で「京」の100倍のアプリケーション実効性能を目指す。