名古屋工業大学 生命・応用化学類の林 幹大 助教らは、JST戦略的創造研究推進事業に於いて、これまで研究してきた結合交換コンセプトを拡張した新規の熱可塑性エラストマーを開発した。
熱可塑性エラストマー(ThermoPlastic Elastomer, TPE)は、室温でゴム弾性を示し、かつ高温で流動可能(分子運動可能)な工業樹脂で、リサイクル性・再成形性に最大の長所がある。
従って持続可能な社会実現を目指すために加硫ゴムの代替として今後の需要拡大が見込まれているもの。但し、TEPは化学的な架橋結合を持っていないことから高温安定性や変形安定性に課題があるとされ、これまで利用範囲が限定されていた。
今回の研究では結合組み替えが起こるナノドメインを付加的な架橋として導入するというアイデアで、上記課題克服への新アプローチを提案。将来的には、強度、耐熱、リサイクル性を兼ね備えた次世代ゴム材料の基盤となる成果になると期待される。
なお、この研究成果は2024年9月3日に学術雑誌「Polymer Chemistry(Emerging Investigators Series:新進気鋭の若手研究者を紹介する特集号)」にオンライン掲載された。
最後に当該研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「水トリガーの易解体接着を実現する結合交換性TPEの開発」(JPMJPR23N7)、立松財団の支援を受けて実施された。
<プレスリリース資料>
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<論文タイトル>
“Designing Dual-Domain Thermoplastic Elastomers from ABA Triblock Copolymers: Introducing Bond-Exchangeable Subdomains in the B-Block Strands”
DOI:10.1039/d4py00858h