商船三井 は7月19日、耐熱性素材を用いた高効率エンジンの技術開発を行う英国のベンチャー企業であるCarnot (カルノー/※1)への出資を決定したと発表した。なお、この出資はMOL(Europe Africa)の主導の元で実現した案件であると云う。
カルノー社が開発するエンジンの概念図。
鉄、アルミ製のエンジンは、エンジンが過熱するとパフォーマンスが低下する上、故障リスクが高まるため、温度が上がり過ぎないように常時冷却する必要があるため、燃焼エネルギーの3割程度が冷却用に消費されている。
カルノー社では、耐熱性の高い素材でエンジンを製造することで、冷却過程でのエネルギー損失を省き、熱効率を高めて燃料消費率(燃費)を飛躍的に高める技術を開発しているベンチャー企業。実現すれば従来のものと比べて2~4割の燃費向上が期待できるエンジンの開発を進めていると云う。
商船三井は、同技術の実証実験結果・実現可能性を踏まえ、同社の運航船舶への活用も検討するとしている。
<カルノー社の概要>
– 名称:Carnot Ltd.
– 主な事業内容:耐熱性素材を用いた高効率内燃機関の開発
– 設立年:2019年
– 本社所在地:英国
– 代表者:Francis Lempp
商船三井グループは、経営計画「BLUE ACTION 2035」でサステナビリティ課題への取組を計画の中心に据え、社会課題や環境面にも貢献した持続的な成長の実現を目指していることから、カルノー社への出資を通じて、運航船のGHG削減および経済性の追求のみならず、海運業界、さらには内燃機関を用いる各産業におけるGHG削減への貢献を目指すとしている。
※1:カルノー社は英国政府の交通省と英国研究・イノベーション機構が共催する、海事分野の脱炭素化への取り組みを支援するClean Maritime Demonstration Competitionに4年連続で選出された唯一の企業。
*タイトル写真:左から商船三井の篠田敏暢専務執行役員(欧州・アフリカ地域担当) 、カルノー社のArchie Watts-Farmerダイレクタ、MOL(Europe Africa)のAlex Greenデピューティー・ジェネラル・マネージャー、カルノー社のFrancis Lemppダイレクタ。