三菱ふそうトラック・バス(以下、MFTBC)は11月18日、ビッグデータを活用して顧客の安全・効率的な車両運行を支える取り組みをさらに進めるため、品質管理プロセスに自然言語処理技術と機械学習を統合したコグニティブ検索を採用し、品質管理業務を改善した。
なお、品質管理におけるコグニティブ検索の活用は、川崎本社における業務のデジタル化の一環として行われた。
コグニティブ検索は、膨大な量の情報をインデックス化し、クラスタリングや比較によってデータの解釈を明確化する技術。今回MFTBCは、この技術を活用し、PQR(Product Quality Report)と呼ばれる、販売店から寄せられる車両品質情報の連絡書への処理対応を強化。
これまで、販売店から届く連絡書を手作業で確認、解析したうえで、既存の連絡書と照合し、報告事案の規模や重要度を把握、その後の改善対応につなげていた各担当者の知識や経験に頼るプロセスを、コグニティブ検索を用いて分析。過去事案を集めたデータライブラリーからの関連事項の探り出しを可能とし、業務効率と正確性の向上を実現した。
また、文章の意味の解析精度を高める自然言語処理機能を追加することで、データ照合の正確性を向上。さらに解析の正確を期すために機械学習を取り入れ、より関連性の高い情報が提案されるようにした。
今回のシステム構築において、MFTBCの品質管理部門は、まず過去事案の詳細なライブラリーを作成し、既存の連絡書から重要な情報が抽出できるようにした上で、販売店から送られてくる英語または日本語の連絡書を分析し、世界各国の車両に関するデータをライブラリーに継続的に追加。このプロセスは、MFTBCの川崎工場と三菱ふそうバス製造の富山工場、そして三菱ふそうトラック・ヨーロッパのトラマガル工場(ポルトガル)で製造する全ての車両を対象としており、海外市場からの連絡書にも対応していると云う。
MFTBCでは、今年1月のシステム導入以降、連絡書処理に要する期間を30%短縮。他にも、車両の品質や安全性を支える取り組みとして、ふそう車両に搭載するコネクティビティ機能「Truckonnect(トラックコネクト)」によるリアルタイムでの車両モニタリングや遠隔診断機能など、現在、品質不具合を未然に防ぐ改善処置や早期解決ができるよう、体制の強化に努めている。
MFTBCは、製造ラインから取引先関係まで様々な領域におけるデジタル化を業務改善の主要な柱として、今後も顧客の業務改善を支援していくとしている。