SiC 8インチウエハ新工場棟イメージ
従来計画から倍増、パワーデバイス事業へ2,600億円を投資
三菱電機株式会社は3月14日、SiC( Silicon Carbide / 炭化ケイ素 )パワー半導体の生産体制強化に向けた新工場棟の建設をはじめ、パワーデバイス事業に於ける2021年度から2025年度までの累計設備投資を、当初は約1,300億円としていた従来計画から投資額を倍増させて、約2,600億円とする事を発表した。
同社は2010年8月のエアコン向けや、2013年3月の高速鉄道車両向けなど、いずれも世界初となるSiCパワーモジュールを提供。家電、産業機器、鉄道車両分野でSiCパワーモジュールの市場をリードしながら、長年に亘ってスクリーニング技術などの高性能・高信頼性の作り込み技術を蓄積して来た。
しかし近年、脱炭素社会の実現に向けた世界的な省エネ志向が高まっており、特にSiCパワー半導体は、電気自動車向け需要の拡大に伴い急速な市場拡大が見込まれ、更に低損失・高温度動作・高速スイッチング動作等が求められる様々な応用分野に於いても更なる市場の広がりが見込まれる等、GX( Green Transformation )実現への貢献が期待されている。
そこで同社は今回、この市場拡大に対応するため、SiCウエハについて約1,000億円を投資して新工場棟の建設と設備増強を実施する。
この新工場棟は、熊本県泗水地区に有する拠点を活用し、大口径化( 8インチ )に対応すると共に、最先端の省エネ性能を有するクリーンルームを導入し、徹底した自動化によって高い生産効率を実現させていく。
また市場の旺盛な需要に対応するため6インチウエハ製品の生産設備も増強して事業拡大を目指す。
加えてこの他、約100億円を投資してパワー半導体の後工程の新工場棟を福岡地区に建設し、同地区内に点在する組み立て・検査工程を集約。設計・開発から生産技術検証までを一貫して行う体制を構築して製品開発力を向上させて、市場ニーズに合わせた製品のタイムリーな量産化を実現させると話している。