三菱電機モビリティは12月23日、運転中のドライバーの脇見や居眠りを検知するドライバーモニタリングシステム(Driver Monitoring System)(以下、DMS)事業の拡大を目的に、オーストラリアのDMSソフトウエアプロバイダー大手〝Seeing Machines (シーイングマシーンズ)〟(本社:キャンベラ)と資本業務提携に関する契約を締結したことを発表した。
この取引では、三菱電機モビリティが40.0百万GBP(イギリスポンド)を出資し、12月23日にシーイングマシーンズより第三者割当増資にて発行された新株15%(希薄化後13%)分を引き受ける。また、翌24日のロンドンAIM市場の取引開始前に、既存株主が保有するシーイングマシーンズの株式6.9%分を相対取引によって追加取得する予定。これにより、シーイングマシーンズに対する同社の株式保有比率は、19.9%となるとのこと。
急成長が見込まれるDMS市場で事業拡大
〝交通事故死者ゼロ〟の実現を目指し、早期からDMSの技術開発と製品化に取り組んできた三菱電機モビリティでは、車載環境に適応した光学設計をはじめとするハードウエア設計や製造技術を有し、脇見や居眠り、漫然運転といった乗員の状態を正確に推定する技術の開発に於いて豊富な量産実績を保有。さらに、脈拍などの生体検知技術を活用し、運転中の体調急変をいち早く察知し、事故を未然に防ぐ技術開発や衝突安全に寄与する乗員の体格推定技術等の開発にも取り組んでいると云う。
同社では、DMSについて、欧州では2026年から新車への搭載が義務化される(※1)ことや、その他主要市場でも規制化の動きがみられることから、今後世界的に市場が急拡大すると想定。また、SDV(※2)化の進展に伴い、今後DMSの供給形態はハードウエアとソフトウエアが一体となったコンポーネントビジネスだけでなく、ソフトウエア単体ビジネスが拡大する見込みで、柔軟な供給形態への対応力が必要になると考えていると云う。
そこで、今回のシーイングマシーンズとの取引を通じて、同社の強みである画像処理による顔向きや視線などの検出を高精度で実現する基本センシング技術と、自社の強みである漫然運転や乗員の体調異常などを車載環境で高度に状態推定する技術を組み合わせることで、急成長が見込まれるDMS市場に於ける事業拡大を図る。
また、両社の技術シナジーにより、グローバルに整備が進む法規やアセスメント要件に対し、迅速かつ的確な対応を可能にすると共に、技術アセットや開発力を最大限に活用し、基盤技術から応用技術まで幅広くカバーする競争力のあるソリューションを市場に提供、新たな付加価値を創出。これにより、ユーザーにとってより安全で快適な車載環境を実現。
今後拡大が見込まれるソフトウエア単体ビジネスへの対応力強化や、シーイングマシーンズが取り組んでいる運送業者などの法人向けビジネスへの販売支援を行っていくとしている。
※1)出典:COMMISSION DELEGATED REGULATION (EU) (PDF)。
※2)SDV:Software Defined Vehicle.
[シーイングマシーンズの概要]
安全性向上を目的としたAIを搭載したドライバー/乗員監視システムを設計する、先進的なテクノロジー企業。自動車分野ではTier2として、欧米市場を中心に多数の顧客へDMSソフトウエアを提供。
また、世界中の規制当局のコンサルタントとして、DMS関連の規制について助言する様々なワーキンググループを主導し、業界団体のアドバイザーを務めているほか、運送業者などの法人向けドライバー安全システムの開発や、航空業界全体の安全性と効率性を向上させる視線追跡ソリューションの提供も行っている。
– 社名:Seeing Machines Limited
– 代表者:Paul McGlone
– 所在地:オーストラリア キャンベラ
– 設立:2000年
– 売上高:57.8百万GBP(Fiscal Year2024:2023年7月~2024年6月)
– 従業員:421名(2024年6月末時点)