三菱電機は、同社のAI技術「Maisart(マイサート/※1)」を用いて、エッジ機器単体で、人の曖昧な命令を状況に応じて不足情報を自動補完して理解する「コンパクトな知識処理に基づくHMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)制御技術」を開発した。
知識処理の演算量とメモリー使用量を削減し、家電製品や車載情報機器などのエッジ機器のHMIへの適用が可能。素早い機器操作を実現すると云う。
[開発技術の特長]
1.ユーザーの曖昧な命令を、AI が状況に応じて不足情報を自動で補完して理解
人の命令は、述語や目的語が欠落することが多く、AIによる機器操作のための情報が不足している場合がある。
そこで、機器情報や機器操作方法、ユーザー情報、センシング情報などを統合した情報を活用して知識グラフ(※2)で推論することで、不足している述語や目的語をAIが自動で補う技術を開発した。
例えばTVに本技術を適用した場合、朝外出時に「母」がテレビに「俳優A」と命令すると、①カメラなどでユーザーが「母」であると認証、②「母」が好きな番組は「番組X」、③「母」は今から出かけるためTVは視聴しない、④午前10 時に「俳優A」が出演する番組Xが放送される、⑤番組Xが未録画である、などの状況を考慮してAIが自動で「俳優Aが出演している番組Xを録画します」と応答するなど、状況に応じて情報を補完し、ユーザーの曖昧な命令を理解するHMIを実現。家電製品の他、車載情報機器など幅広いアプリケーションへの適用もできる。
なお、問い合わせ対応システム(※3)に適用し検証した事例では、曖昧な命令に対し、回答を検索するまでの時間を3分の1以下に短縮できたと云う。
2.知識処理のコンパクト化により、エッジ機器単体で即時にユーザーに応答
知識グラフとして統合された情報を、ユーザー命令やセンシング情報などとの関連性の強さで絞り込み、演算量とメモリー使用量を削減する知識処理方式を開発。これによりクラウドへの情報アップロードを行うことなく、エッジ機器単体での知識処理による素早い応答ができるHMIを実現した。
今後、三菱電機は、家電や車載情報機器などへの本技術の適用を検証し、2022年以降の商用化を目指すとともに、社内での問い合わせ業務や品質管理業務への適用を検討していく。
※1:Mitsubishi Electric’s AI creates the State-of-the-ART in Technology の略。全ての機器をより賢くすることを目指した三菱電機のAI技術ブランド。
※2:主語、述語、目的語などの三組を用いて情報の関連性を表現したデータベース(例:(太郎さん、好き、ドラマ)、(太郎さん、命令、番組 X))。
※3:よくある質問、頻繁に尋ねられる質問を検索するシステム。
[問い合わせ先]
三菱電機株式会社 情報技術総合研究所
FAX:0467-41-2142
問い合わせフォーム:https://www.mitsubishielectric.co.jp/contact/ssl/php/353/kiyaku.php?fid=353