三菱電機とオランダのHERE(HERE Technologies)は、三菱電機のHD ロケーターとHEREのクラウドコンピューティング技術を組み合わせ、道路上のさまざまな危険を事前に警告するシステムを開発している。
今回その中で、先行車両のセンサーが検知した落下物や陥没、滑りやすい路面などの路上障害の位置情報を、クラウドを通じて後続車両に自動的かつリアルタイムに共有する「レーンハザードワーニングシステム」を開発し、本システムの実証実験を昨年12月に茨城県で、3月に米国・カリフォルニア州で実施した。
[レーンハザードワーニングシステムの概要]
「レーンハザードワーニングシステム」は、車に搭載されたセンサーやブレーキの動作状況をもとに把握した、故障車や減速走行の車両、落下物、陥没、滑りやすい路面などの路上障害の情報について極めて正確な位置情報とともに、障害に接近している後続車両にクラウド経由でリアルタイムに共有。
後続車両は路上の危険を数秒あるいは数分前に把握でき、危険を回避する時間を得ることができると云う。
※1:High Definition Locator / ※2:Controller Area Network / ※3:Electrical Control Unit
システムでは、センチメートル単位の精度で自己位置を特定できる三菱電機のHDロケーターと HEREの大規模位置情報データプラットフォーム「HERE Open Location Platform」を活用。
両社は、このシステムがドライバーの安全確保や自動運転システムへの応用できるとし、自動車メーカーが自社の車両で試験ができるよう、広く提供する予定だとしている。
また、クラウドを活用した自動運転向け高精度地図の自動更新技術や、道路事業者に路面の劣化状況を通知するサービスなども検討していると云う。
このシステムについて、三菱電機常務執行役・自動車機器事業本部長の大西寛氏は、以下のように話している。
「路上になんらかの障害が発生した場合、ドライバーがその障害に即座に対応することは困難であり、ドライバーや同乗者は危険にさらされます。当社は HERE 社と協力し、道路上にある障害を避けるために、ドライバーが安全に車線変更などの対応ができるように、数秒あるいは数分の猶予を提供する新しいシステムを開発しました。このシステムが将来の交通安全に役立つことを期待しています」。
また、HEREシニアヴァイスプレジデントのJørgen=Behrens氏は、以下のように話している。
「当社と三菱電機は、自他の車両からの情報を基にしたシステムを通じて、将来の安全運転に貢献していきます。また、迅速、正確かつ的確に道路上の危険を通知することは、自動運転やスマートシティーサービスに不可欠なデータインフラであると考えています。この技術が市場に登場することを楽しみにしています」。