e-SKYACTIV R-EVのローター
マツダは6月22日、宇品第1工場(広島県広島市)にて欧州向けの「MAZDA MX-30 e-SKYACTIV R-EV」の量産を開始した。同社がロータリーエンジン搭載車を量産するのは、2012年6月の「マツダ RX-8」の量産終了以来約11年ぶり、累計生産台数は199万台を超えている。
e-SKYACTIV R-EV電動駆動ユニット
MX-30 e-SKYACTIV R-EVは、日常の幅広いシーンに於いてバッテリーEVとして使える85kmのEV走行距離を備え、ロータリーエンジンの発電によってさらなる長距離ドライブにも対応、さらに、その走行の全てをモーターで駆動する独自のプラグインハイブリッドモデルとなっている。
マツダ初の量産バッテリーEVとして2020年に導入し、マイルドハイブリッドモデル、そして新たにプラグインハイブリッドモデルをラインアップに加えたMX-30は、カーボンニュートラル実現に向けたマルチソリューション戦略を体現するモデルとなった。
その車両設計コンセプトでは、内装材としてコルクや再生材からできた生地などの環境に配慮した素材の積極的な採用に加え、生産工程でも環境負荷の低減に取り組んでいる。
そんなMX-30の生産工程での環境負荷低減の取り組みは以下事例の通り
(1)マルチトーン塗装 ― 省エネルギーの取り組み
MX-30のデザインの特徴のひとつであるマルチトーン塗装を行う専用の塗装ラインでは、塗分けが必要な部分に的確に塗料を噴射するスプレーガンを導入。ノズルとボディ表面の距離をミリ単位で管理することで、塗料の噴射ロスを低減した。
また塗料を乾燥させる工程では、通常の塗装ラインでは約140℃まで熱して塗料を乾燥させるのに対して、約80℃の低温で硬化する新開発の塗料を採用。
こうした一連の取り組みにより、通常の塗装ラインでマルチトーン塗装を行う場合と比較して、使用するエネルギーを大幅に削減し、年間CO2排出量に換算して約34%~37%を削減させている。
(2)太陽光発電設備 ― 再生可能エネルギー導入の取り組み
2021年7月に稼働した広島本社工場の太陽光発電設備は、1.1MWの発電能力を有しているが、発電した電力は、同工場で生産するMX-30 EV モデルに加え、新たに量産を開始したe-SKYACTIV R-EVの出荷時のバッテリー充電をまかない、加えて工場全体で使用する電力としても供給されている。