丸紅は、医用画像診断システムの開発を行う米国の「Enlitic社」が行う第三者割当増資を引き受け、昨年12月に独占的業務提携契約を締結したと、1月7日に発表した。
この提携により、Enlitic社が開発する人工知能(AI)を応用した医用画像診断システムを日本市場向けに開発・販売する。
Enlitic社が開発する医用画像診断システムは、AI関連技術の深層学習(Deep-Learning)を医用データに応用し、画像診断(X線、CTスキャン、MRI等)による悪性腫瘍等の疾患を、医師が正確かつ早期に発見するためのサポートシステム。同社のシステムは、病院での画像診断において最も多く使用されていると云う。
またEnlitic社は、診断の見落としが多いとされている胸部X線画像について、優先して開発。システムを通じて蓄積された1,000万点に上る症例の画像データを活かした、高い検出精度が期待できるとしている。
また同社では、頭部や胸部のCTスキャン画像、マンモグラフィー画像用の診断システムの開発も平行して進めている。
現在、病院では、少子高齢化により放射線科医が不足し、医師の負担が増加。同システムの導入により、画像診断の効率化による医師不足の解消や、診断精度向上による早期検知、誤診削減のサポートが可能になると云う。
AIを活用した画像診断をはじめとするデジタルヘルス(*)分野の市場規模は、2020年に世界で1,000億ドル以上に達するとの予測がある。
丸紅では、これらデジタルヘルスケアのプラットフォームが日本国内に構築されることで、AIによる総合診断支援サービスの実施、国内医療データの蓄積・管理や遠隔地域および過疎地域の画像診断サービスが可能となるとしている。
丸紅は、2017年4月1日に新設した「IoT・ビッグデータ戦略室」を昨年4月1日から「デジタル・イノベーション部」へと改組し、デジタル技術の活用による新たなビジネスモデルの創造を推進。
デジタルヘルスケア社会の到来に向け、多くの医療用AIの技術パートナーと協業し、将来のAI医療を用いた予防・診断システムの構築を通じ、日本のデジタルヘルスケア分野の発展に貢献していくとしている。
*:AIやその他の先端技術を活用したヘルスケアの新製品・サービス
[Enlitic社の概要]
– 会社名:Enlitic, Inc.(エンリティック社)
– 本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ
– 設立:2014年
– 事業内容:AI技術を活用した画像診断システムの開発、およびサービス提供
– URL:https://www.enlitic.com/