小糸製作所は6月27日、開発中の車載用LiDARに関して、米国のセプトン社(Cepton)との協業関係を強化することで合意したと発表した。
LiDARは、ADAS搭載車や自動運転車に必要となる、遠方の車両や落下物等、対象物の位置や距離を正確に捉え、高度な状況判断を行う各種センサ(LiDAR、カメラ、ミリ波レーダ)の内、高精度に位置や距離の測定が可能なセンサの一つ。赤外線レーザを極短時間発光し、対象物からの反射光を受光するまでの時間から距離を計測し、上下/左右のスキャン(走査)により、広範囲の対象物の位置と距離を正確に把握することができる。
このレーザのスキャン方法は、各社LiDARの性能を左右する最も大きな技術要素となるが、セプトン社ではスキャン方法に、従来のモーターによる回転ミラー式とは異なり、機械的な摩耗部が無く長寿命かつ耐久性に優れた、シンプルな構造の画期的独自技術を採用。自動車部品に求められる高い信頼性、量産性、コストの両立を実現させていると云う。
次世代モビリティに対応するため、ADAS搭載車・自動運転車向けLiDARの開発に取り組んできた小糸製作所は、2017年、セプトン社との中距離用LiDARの共同開発を開始。以降、2020年2月にセプトン社の株式を取得し、今年2月には追加出資(連結子会社、持分法適用会社には該当しない)するなど、関係を強化し、協業を推進。検知距離、角度分解能といった性能バランスが秀でたセプトン社製LiDARの来年の販売開始を目指している。
そして今回、ADAS搭載車・自動運転車(レベル3以上)の技術的進展・普及に於いて必要性が高まる、より高精度で近傍から遠方までの検知が可能な短距離・長距離用LiDARの新たな開発で、セプトン社と合意した。
今後、小糸製作所は、自社の自動車部品の製品設計、量産化技術と、セプトン社の先進LiDAR技術を組み合わせることにより、ADAS搭載車や自動運転車向け製品開発を更に推進すると共に、スマート交通インフラ等 車載用以外の目的への製品開発も積極的に推進。次世代モビリティ社会の安全・安心に貢献すると共に、様々な顧客ニーズに的確に対応し、車載用並びに車載用以外にも対応できるLiDARのグローバルサプライヤーとして、センサ事業の拡大を目指すとしている。
■Cepton:https://www.cepton.com/