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2018年7月25日【テクノロジー】

KDDIと日立、ブロックチェーン+生体ID認証でクーポン決済を実証

NEXT MOBILITY編集部

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KDDIと日立製作所は、7月25日から7月26日の期間中、ブロックチェーン (注1) と生体ID認証を組み合わせたクーポン決済システムの実証実験を実施する。

 

実証実験では、KDDIと日立の一部社員が (注2) KDDI直営店au SHINJUKUおよび、ミスタードーナツ高田馬場戸山口ショップで、指静脈認証でユーザー登録・本人認証をし、引き換えクーポンを利用。

 

ブロックチェーンに適した生体ID認証基盤における課題の洗い出し、ユーザー登録・本人認証の処理時間や利便性を検証する。

近年、フィンテック (注4) の進展により、ブロックチェーンを活用した新サービスの創出が進んでおり、金融サービスにとどまらず、さまざまなフィールドでブロックチェーンの活用が検討されている。

 

一方、ブロックチェーンは、複数企業での情報の安全な共有に適しているとされるが、第三者機関の仲介なしで取引可能な基盤であるため、本人認証におけるIDやパスワードの管理面での課題もある。

 

実証実験では、日立の公開型生体認証基盤 (PBI 注3) による本人認証を利用したクーポン決済システムを、代表的なブロックチェーン基盤のひとつであるHyperledger Fabric (注5) の環境上に構築 (注6) し、その有効性を検証する。

 

実証実験のシステムイメージ

実証実験のシステムイメージ

 

PBIは、従来の生体認証技術とは異なり、指静脈などの生体情報自体の保存が不要。それらを復号困難なデータに変換した公開鍵を用いて認証することができる。

 

また、PBIとブロックチェーンを連携した日立の独自技術 (注7) により、盗難や漏えいのリスクが低い生体情報の特徴データを秘密鍵として電子署名 (注8) を自動生成できることから、従来のブロックチェーンと異なり秘密鍵の管理が不要で、セキュアな本人認証を実現。

 

これにより、ユーザーは認証基盤に登録した指をかざすだけで本人認証ができるため、店頭でのクーポンの提示が不要になり、スマートフォンがなくてもクーポンの利用が可能になると云う。

 

PBI-ブロックチェーン連携技術の概要

PBI-ブロックチェーン連携技術の概要

 

同システムでは、手ぶらで決済ができるため、従来に比べてクーポン利用の処理手順や時間が短縮され、ユーザーの利便性の向上が期待できるとしている。

 

また、ブロックチェーンに記録されたクーポン利用情報は、改ざんが極めて困難なため、KDDIおよび提携店舗間で信頼性を担保したクーポン利用履歴の共有が容易となり、クーポン利用者数に応じた支払いが高精度に行えるようになると云う。

 

 

注1)ブロックチェーン:

複数のコンピュータがそれぞれ分散型合意形成を行うことで、常に稼働しデータの改ざんを困難にする仕組み。中央の管理者が存在しなくても、ネットワーク上の複数の参加者が安全なデータ共有が可能になる。

注2)対象者は一部の社員で、一般利用者は対象外。

注3)PBI (Public Biometrics Infrastructure) 技術:

静脈パターンなどの生体情報の「揺らぎ」を補正することで秘密鍵を抽出し、公開鍵暗号方式に基づく電子署名を生成する日立独自の技術。生体情報は「一方向性変換」により暗号学的に復元困難なデータ (PBI公開鍵) に変換して登録・照合されるため、元の生体情報はどこにも保存されず、漏えいリスクを最小化することができる。なお、従来技術では生体情報は「揺らぎ」を持つため毎回同じデータが取得できず、一意なデータである暗号鍵を生成することはできなかった。

注4)フィンテック (FinTech):

Finance (金融) とTechnology (技術) を組み合わせた造語。最先端のITを駆使した革新的な金融サービスやそれらを創出するための活動。

注5)Hyperledger:

業界の壁を越えたブロックチェーン技術の進化をめざして発足したオープンソース共同開発プロジェクト。Hyperledger Fabricはブロックチェーンフレームワークインプリメンテーションで、The Linux FoundationがホストするHyperledgerのプロジェクトの1つ。

注6)実証実験では、Hitachi Blockchain PoC 環境提供サービス for Hyperledger Fabricを利用。

注7)2017年10月5日発表「ブロックチェーンにおけるセキュアな取引を実現する生体認証技術を開発」:http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/10/1005.html

注8)電子署名: 紙文書における印章やサイン (署名) に相当する役割を果たすもの。主に本人確認や、偽造・改ざんの防止のために用いられる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。