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2019年2月13日【テクノロジー】

鹿島、柱の全周溶接と梁の上向溶接に溶接ロボットを本格適用

NEXT MOBILITY編集部

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鹿島は、「鹿島スマート生産ビジョン」の実現に向け実証を進める(仮称)鹿島伏見ビル新築工事で、柱の全周溶接と梁の上向溶接に、汎用可搬型溶接ロボットを本格的に適用した。

 

グループ会社の鹿島クレスが、溶接ロボット10台と直傭オペレータ8名により、柱10箇所、梁585箇所の溶接作業を実施した。

鹿島・ロゴ

[開発の背景]

 

鉄骨造建物の骨組みとなる柱や梁の接合には、溶接を用いることが一般的。大地震にも耐えうる高い品質を維持するために溶接技能者には高度な技量が求められる一方、将来予想される人手不足と高齢化により、溶接技能者の確保と作業の効率化・省力化は喫緊の課題となっている。

 

鹿島が策定した「鹿島スマート生産ビジョン」では、「作業の半分はロボットと」をコアコンセプトの一つに位置づけ、繰り返しの作業や人では苦渋を伴う作業、自動化により効率や品質にメリットが得られる作業などを対象に、自動化・ロボット化を推進。

 

現場溶接の分野では、溶接作業そのものが繰り返し作業であること、形状・肉厚の大きい柱の横向溶接や梁下フランジの上向溶接は人にとって負担の大きい作業であることから、コアコンセプトに基づき、溶接ロボットを用いた作業を目指している。

 

 

[新築工事現場におけるロボット溶接作業]

 

同工事の現場溶接では、柱・柱接合部の全周溶接と、柱・梁仕口部の下フランジ溶接の全箇所を溶接ロボットにより施工。

 

従来、下フランジの人による溶接は上方からの下向溶接だった梁のウェブなどの支障物があるため、作業に時間が掛かっていたが、今回溶接ロボットを活用することで、人ではほぼ不可能だった下方からの上向溶接で作業が行え、以下様々なメリットがあった。

 

・ウェブやボルトなどの支障物がなく直線的な溶接が可能となり、またスカラップ(交差部を溶接するためにあえて設ける欠損)も不要となるため、溶接の品質や性能が大幅に向上。

 

・従来下フランジを上方から溶接するため、邪魔になる上階の床施工を後回しにしていたが、下方からの上向き溶接ではその必要がなく、鉄骨建方工程の短縮が実現。

 

・溶接工程が、床施工や次節の鉄骨建方といった他の工程に左右されなくなるため、溶接作業量の平準化が図れる。

 

・下フランジの溶接を下階の床施工後に行うことができるため、従来の吊り足場ではなく高所作業車を用いた作業が可能となるため、作業員の安全性が飛躍的に向上。

 

 

柱・柱接合部の全周溶接(左)と梁下フランジの上向溶接(右)

柱・柱接合部の全周溶接(左)と梁下フランジの上向溶接(右)

 

 

[総合的なロボット溶接施工システムの構築]

 

溶接ロボットを活用した高品質な溶接を実現するためには、柱の全周溶接における四隅(曲線部)の溶接処理や、梁の上向溶接における溶接金属の垂れといった課題の克服とともに、鉄骨製品の製作精度や、許容範囲の建方誤差にも適切に対処する必要があると云う。

 

こうした課題に対して、鹿島では、技術開発だけでなく、溶接ロボットのオペレータの育成・訓練も含めた、トータルな施工システムを構築することで対応。また、今回の現場本格適用に際しては、溶接ロボットによる作業を含む全ての溶接作業を鹿島クレスが担当した。

 

鹿島クレスでは2016年4月に溶接事業部を発足、溶接ロボット運用の要となるオペレータの訓練と育成を進めている。

 

 

[今後の展開]

 

今後、溶接技能者の確保が難しくなることが予想される中、鹿島グループの連携によって確実な人材の確保と、溶接ロボット技術や施工ノウハウの共有による高品質な溶接を可能とし、また、得られた知見の蓄積により、さらなる技術の進化へとつなげる。

 

鹿島は、これからも鹿島グループで、建築生産プロセスの変革を目指す「鹿島スマート生産ビジョン」の実現に向け、鉄骨溶接ロボットの展開を積極的に推進していくとしている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。